シンガポール
1 章 基礎知識
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1 章 基礎知識
2 章 投資環境
3 章 地域統括会社の活用方法
4 章 地域統括会社の作り方
5 章 M&A
6 章 本社機能の海外移転
7 章 地域統括会社の税務リスク
8 章 会計
9 章 税務
10 章 労務
11 章 Q&A
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基礎知識
■正式国名→シンガポール共和国
英語名:The Republic of Singapore
■国旗
赤は普遍的な兄弟愛と人間の平等を表し、白は純粋さと美徳を表します。三日月は上昇しているシンガポールの若い国を象徴し、5つの星は民主主義、平和、進歩、正義、および平等という理想の国を表しています。
シンガポール国旗は1959年12月3日に採択され、1965年8月9日にマレーシアから独立した歴史があります。
■面積・国土→719.9平方キロメートル(東京23区をやや上回る)
マレーシア半島の最南端に位置しており、シンガポールはシンガポール島とその領海内の約63個の島で構成されています。本島は東西に約67.59km、南北に約37.01km
です。
■首都→シンガポール
アジア諸国において戦略的に優位な位置にあり、卓越したインフラを備えるシンガポールは、金融・地域貿易の中心地であり、世界で最も多忙な港をもつ、魅力ある経営拠点として広く認識されています。
シンガポールの事務所が統括している対象地域を見ると、ASEANが97.4%と圧倒的に多く、次いでインド・南西アジアが54.5%となっています。つまり、ASEAN、インド地域を統括しているケースが多いと思われます。
■気候
熱帯雨林気候に位置し、緯度は1.37度、経度は東経103.98度、標高は5mとなっています。ほぼ赤道直下にあるため一年中気温が高く日本とは違い、季節の変化がほとんどなく、約25度から33度を保っています。また年中降水量が多いのも特徴で、2月から9月は南西からの季節風、10月から3月は北東からの季節風が影響となっています。
上記表は2018年の平均気温のグラフです。こちらをみても日本ははっきりと寒暖差が見受けられますが、シンガポールはほぼ一定です。
上記表は2018年の平均降水量を比較したものです。年間合計雨量は日本が1445.5mm、シンガポールが1695mmでシンガポールの方が日本よりも多くなっています。
■時差→-1時間
日本との時差は-1時間で日本の正午がシンガポールの午前11時です。サマータイムの導入はされていません。
■人口→5,638.676人(出所:世界銀行2018年)
民族構成としては中華系約74%、マレー系約13%、インド系約9%となっています。
世界の人口ランキングでは第114位(日本は11位)で、都道府県と比較すると兵庫県の人口と近い人口です。
【現状:メイド制度】
シンガポールは移民国家であり、人口の約4割は永住者を含む外国人です。
そのうち就労ビザ取得者は185,800人となっています。(2018年12月)
外国人人口の過多に対する反発を受け、サービス業において外国人労働者の最大許容割合を4割から2段階に分けて2020年1月1日に38%、2021年1月1日に35%まで下げるという方針がThe Dependency Ratio Ceiling (DRC)より発表されました。
就労ビザを取得し外国人家事労働者(Foreign Domestic Worker)一般的にメイドと呼ばれる方が活躍しています。
シンガポールも高齢化社会で両親ともにフルタイムの共働きも増えています。5世帯に1世帯はメイドを雇用していると言われています。
彼らの目的は当然お金です。このメイドシステムが成り立つのも発展途上国と先進国シンガポールの経済格差によるものです。最低賃金制度のないシンガポールでは送り出し国の給与水準でメイドを雇うことができます。
しかし社会問題もあり、母親よりもメイドの方が子供の「なりたい職業」や「好きな教科」などを74%の確立で正しく回答しているという動画が2015年話題となりました。
そこからメイドの方に週に1度は休暇を取ってもらい、その日は親子の会話を大切してもらおうという動きが活発化したとされています。
【メイドとして就労ビザ申請の資格要項】
【メイドの一般的な待遇】
【メイドとのコミュニケーションギャップ】
・雇用主が思っている期待度とすり合わない
・雇用主の家に(男)友達を入れてしまう
・シンガポールの最新家電の扱いになれていない
・食材扱い前にペットに触ったりと、衛生観念が違う
・パーティを雇用主が不在の間に開き近所迷惑となる
・フィリピン人以外とは言語がうまく通じない
・家のものが勝手になくなる
・ホームシックになる
・宗教の違いで生活の価値観が合わない
■言語→マレー語
国語はマレー語ですが、公用語として英語、中国語、マレー語、タミル語があります。マレー語が公用語の理由として、マレーシアと隣接しているということから外交の意味が含まれています。民族構成から日常生活では中国語が中心に話されますが、ビジネスでは英語が公用語になりつつあるといえます。
■通貨→シンガポール・ドル
シンガポールの通貨はシンガポール・ドルと呼ばれ2019年3月10日現在でS$1=約82円です(出所;地球の歩き方 )。紙幣はS$2, 5, 10, 50, 100, 1000, 1万の7種類存在し、硬貨はS¢1, 5, 10, 20, 50, S$1の6種類あります。
■主な歴史
・14世紀末まで
シンガポールという呼称は、14世紀末にシンガプーラという、サンスクリット語でライオンの町を意味する言葉を英国化したものだとされています。しかし様々な説があり、絶対的根拠はありません。一般的には、スマトラから訪れた、サン・ニラ・ウタマが名付けたという伝説に由来します。
マジャパヒト王国の支配下で貿易としてシンガポールは栄え、通称「テマセク」と呼ばれていました。その理由として、マジャパヒト王国の宮廷詩人のプラパンチャが書いた『王朝栄華物語』の中にテマセクの名前が出てきています。その後、マラッカ王国ができ、ここでも貿易の場として栄えました。
・16世紀
マラッカ王国が成立していましたが、1511年ポルトガルに侵略され滅亡しました。これによりポルトガル領のマラッカが成立し、そこの商人や王族の一部がシンガポールへと逃れました。しかしシンガポールも1513年にポルトガルに占領されました。この出来事が現在のシンガポールの暗黒時代となり、300年間腐敗した状態が続きます。
ここで生き残った王族たちがオランダの支えもありジョホール王国を設立します。1641年にポルトガルの支配時代が終焉を迎えます。
・19世紀ごろ
シンガポールが世界に注目されるようになるのはこの時期からです。
1819年、イギリスの東インド会社がシンガポールに上陸し、イギリスによる支配が始まり、地政学上で重要な商館建設を進めます。
その結果、シンガプーラという名前から英語的なシンガポールに代わり、都市計画が活発化します。
・20世紀
イギリスにとってはシンガポールを得た利益は大きく、インドやオーストラリア、中国との三角貿易を進め航路拡大ができました。
これがシンガポールの多民族国家の始まりとなりました。
自治権が認められないまま、世界は第2次世界大戦に突入し、1942年2月、シンガポールは日本軍の占領下に入りました。
1945年日本の敗退後、イギリスが戻ってきます。結果独立は実現できず、再度植民地時代を歩むことになります。
しかし現地の人々の反発のもとナショナリズム運動が活発になりました。
1963年、イギリス自治領としてマラヤ連邦、ボルネオ島のサバ・サラクワ両州と共にマレーシア連邦が出来上がりました。そこでマレー人と共産主義者で利害関係から衝突、マレーシア連邦からシンガポールは独立を果たします。
■政治体制:立憲共和制
立憲共和制は1965年8月9日成立。
大統領:ハリマ・ヤコブ現大統領。2017年9月、第8代大統領として就任。シンガポール初の女性大統領。
首相名:リー・シェンロン(人民行動党PAP)
外相名:ビビアン・バラクリシュナン(人民行動党PAP)
シンガポールの大統領任期は6年で再選可能ですが、2016年の法改正により過去の5回の大統領において選出されなかった民族から大統領を選出するという制度ができたため、前大統領であるトニー・タンは出馬できず、マレーシア系のハリマ・ヤコブ氏が当選を果たす形となりました[帆乃夏3] 。
外交基本方針:ASEAN諸国との交友関係を基に地域国に協力姿勢。経済・安全保障面で米国の関与を重視しています。
■教育制度
1965年の独立により、経済成長の軸として最も重要な資源として人材教育だと考え、強固な教育制度ができました。
シンガポール教育の特徴として「二言語教育」があります。1959年では英語学校が47%、中国語学校が46%とほぼ同率でした。
公用語としては英語、華語、マレー語、タミル語の4言語ありますが、国際語である英語が第一言語とされ、諸国とのコミュニケーションのため大変重宝されています。
小学校6年、中学校4年、高校2年という制度が1981年に完成しました。しかし例外も認められ、進むコースによっては6・4・2制と異なる場合もあります。
小中学校は週5日制であり、1年は4期に分かれています。
義務教育はプライマリースクール(小学校)の就学で、2003年に定められました。
しかし実際はSecondary School (12歳以上)へほとんどの子供が進学します。
【現状】
PISA(Programme for International Student Assessment)という、経済協力開発機構(OECD)で3年に一度調査されている学習到達度調査でシンガポールは1位となっています。
※2018年版は2019年12月公開
シンガポールは国土が狭いため人材が大切な資源となります。
シンガポールで教師の社会的地位は高く、全員国立教育学院(NIE)でトレーニングを受け、トップ層が教師に選ばれ、尊敬されます。
日本でいう小学校(プライマリースクール)卒業時に全国テストPSLE(Primary School Leaving Examination)を受け、それに基づき行くことのできるセカンダリースクールが決まります。
そこで高得点取得できると大学進学、エリートコースへと進み、点数が低いと技術職、職業訓練コースの道となります。
このように12歳のプライマリースクール卒業時に人生の岐路に立つメリットもあります。
勉強が苦手だとしても早いうちから職業訓練を受け、将来設計がしやすくなります。
さらに進学者は勉強が苦手な子に速度を合わせる必要がないために効率的に学ぶことができます。
逆のデメリットとして受験戦争化し、小学生のうちから睡眠時間を削っての勉強や学校後の塾通い、教師・親の白熱化などまだまだ子供にとって過酷な状況にあることも否めません。
よってオン・イエクン教育相は2019年3月5日にこの初等教育終了時に未来が決まってしまう過去40年のやり方を段階的に廃止したい趣旨を述べました。
今後は学力に応じて仕切るのではなく、G1、G2、G3というジェネラルを用意し生徒がG1、G2、G3の授業を組み合わせて選べる方式にする。学力に関係なく生徒が交流する環境づくりが目的となっています。
■日・シンガポール関係
2019年6月G20大阪サミットにて日本側外務大臣とシンガポール側ビビアン・バラクリシュナン外務大臣の会談が行われました。
二国間関係について21世紀のための日本・シンガポール・パートナーシップ・プログラム(JSPP21)を互いに協力関係にあることに好意を見せ、LNGバンガリング(船舶へのLNG(液化天然ガス)燃料供給)拠点の整備協力も歓迎すると述べています。
安倍晋三内閣総理大臣もリー首相と会談し、上記に加え南シナ海や北朝鮮等の地域情勢の意見交換も行い、リー首相の支持を得て良好な関係が気づけています。
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参考文献
■参考文献
・WORLDFLAGS101.com http://www.worldflags101.com/s/singapore-flag.aspx
・JETRO https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/basic_01.html
・Singapore expats https://www.singaporeexpats.com/about-singapore/climate-and-location.htm
・世界の季節https://world-season.com/climate-singapore/
・気象庁
・外務省https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/singapore/data.html
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