ミャンマー

2 章 投資環境

    • Latest News & Updates

      【中銀、国内の全ての取引で現地通貨チャット使用を指示】

      201713日、中央銀行は、国内の全ての決済を現地通貨チャットで行うよう指示する通達を出しました。 中央銀行は為替レートを安定させる狙いで20155月に全国に同様の通達を出しましたが、徹底されていないため、再度通達を出しました。
      「国内の取引に外国通貨を用いれば、米ドル需要が増えます。その結果、外国為替レートが不安定になります」と通達は説明しています。 チャット使用の通達は、企業の種類(国営/民間企業)や部門を問わずあらゆる部門に適用されます。2015年の通達提示にも関わらず、多くのレストランやバーで価格はドル表記のみがされています。通達は、外貨が使われがちなホテルやレストラン、飛行機、インターナショナルスクールでもチャットを使わなければならないとしています。
      国際取引については、ミャンマーの輸入業者が直接ドルを使わず、チャットで支払い、現地銀行を通じてドル建て購入を行うことが推奨されています。輸入業者が取引の詳細を現地銀行に申請し、同等の現地通貨を用いる仕組みが目指されています。 ただし、現地銀行は慢性的なドル不足であり、上述のようなサービスを提供できる状態にありません。取引業者は闇市場で米ドルを確保した上で、米ドルを地場銀に持ち込まなければならないのが現状です。この現状は中央銀行も把握しています。 中央銀行は輸入業者もチャットで取引できるようになることを目指しています。ミャンマーは多くの部門で大半が輸入に依存しており、ドル需要を増大させています。現在米ドルで徴収されているビザを始め、外国に関することにも現地通貨の使用を促進する必要があるとの見解が示されています。 また、中央銀行の公式参考レート(米ドル―チャット)は201612月、3週間以内に5%以上推移しています。
       
       
      【アメリカ、対ミャンマー経済制裁解除について】
       
      2016107日、米国はミャンマーに対する経済制裁を解除しました。
      1997年の導入以来、ミャンマー経済と外資企業の活動の大きな足かせとなっていた対ミャンマー米国制裁(ビルマ・プログラム)は効力を失いました。
      エーヤワディ銀行やミャワディ銀行などの大手民間銀行を含む111の法人・個人が制裁リスト(SDNリスト)から削除されました。削除されたのは、旧軍事政権に協力的だったミャンマー企業などです。
      全世界共通の麻薬取引と北朝鮮制裁プログラムに関連する組織や人物への制裁は今後も残されます。SDNリストに残留するのは、米国の麻薬取引中心人物指定法(The Foreign Narcotics Kingpin Designation Act)に関連する制裁が10組織21名、北朝鮮関連が2名です。
      また、ミャンマー産翡翠の米国宛禁輸も解除されました。
      OFACの規制による、全ての銀行及び金融分野に対するミャンマー取引制限も解除されることになりました。
       
      今回の解除は、2016914日、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相とホワイトハウスで会談後にオバマ大統領の発表を受けたものです。
      914日の発表では、GSP(発展途上国向け特恵関税:Generalized System of Preferences)復活の方針も言及されていました。107日発表の大統領令には含まれていませんが、GSPも近く復活される見込みです。GSPが適用されれば、ミャンマーは約5000品目を無税で米国に輸出できるようになります。
       
      制裁解除により、日本勢を含む外資企業にとって提携先の選択肢が広がる一方、人材獲得などの競争は厳しさを増すと見られています。
       
      ■ビルマ・プログラム
      米国によるミャンマーへの経済制裁(ビルマ・プログラム)は1997年から19年間続きました。
      スー・チー氏への自宅軟禁を含む軍事政権の人権侵害を批判し、米国は1997年にミャンマーに対する新規投資を禁止しました。これは既に進出した企業の営業を規制するものではなかったものの、欧米では消費者による不買運動が高まり、多くの米欧系企業が撤退しました。
      2003年、スー・チー氏が再び拘束されたことを受け、米国は対ミャンマー制裁法を新たに制定しました。この法律はミャンマー製品の輸入全面禁止、ミャンマーへのドル送金禁止、軍事政権高官のビザ発給中止や資産凍結などを含んだことにより、同国から米国への輸出の8割を占めていた縫製品産業等への打撃となりました。その後、EU、豪州、カナダも制裁を決定しています。
      2011年の民政移管を受けて、2012年、米国は自国企業のミャンマー投資を解禁し、翡翠とルビー以外の輸入を解禁するなど、大半を解きました。一方、軍や旧軍政に近い個人や企業との商取引の禁止や、宝石類の輸入禁止などは「軍への圧力」として残していました。GSP(発展途上国向けの関税優遇措置)の適用は停止したままでした。
       
      ■ビルマ制裁措置の終了に関する大統領令
      2016107日、オバマ大統領は、ビルマ制裁大統領令と他の法令による対ビルマ経済制裁を撤回し、国家的緊急措置を終了する大統領令を発表しました。
      本大統領令は、大統領令13047号、13310号、13448号、13464号、13619号及び13651号を廃止し、2008年制定の軍事政権の反民主的行動法(トム・ラントス・ブロック・ビルマ・ジェイド)によるビルマ産翡翠禁輸の制裁を撤回するものです。
      これにより、OFAC(米国財務省外国資産管理室)により行われてきたビルマに対する経済制裁は解除されました。
      ・ミャンマー制裁により指定されていた全ての個人および団体をSDNリスト(制裁リスト)から削除
      ・ミャンマー制裁により凍結されていた全ての財産及び権益の解放
      ・ミャンマー産の翡翠、ルビー等の宝石の米国宛禁輸の解除
      ・ミャンマー制裁に基づくOFACによる全ての銀行及び金融分野に対する、ミャンマー取引制限の解除
      ・米国政府の規制からのミャンマー制裁の削除
      ・米国国務省によるミャンマー宛投資報告要請を廃止、自主報告制に変更
       
      ■今回の制裁解除でSDNリストから削除された組織・個人
      STATE PEACE AND DEVELOPMENT COUNCIL OF BURMA
      SHWE, Than
      AYE, Maung
      SWE, Myint 他
       
      ■その他制裁によるSDNリスト残留先
      <麻薬取引者-個人>
      THET, Naing Win
      KHINE, Oo Oo
      MYINT, Li  他
      <麻薬取引者-団体>
      TET KHAM GEMS COMPANY LIMITED
      HONG PANG GEMS & JEWELLERY COMPANY LIMITED
      HONG PANG GEMS & JEWELLERY (HK) COMPANY LIMITED  他
      <北朝鮮関連-個人>
      KIM, Sok Chol
      KIM, Kwang Hyok
       

      【アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相 来日について】
       
      アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は、2016111日~5日、新政権発足後初めて来日しました。
      来日中、スー・チー氏は安倍晋三首相、岸田文雄外相とそれぞれ会談し、天皇皇后両陛下とも会見しました。京都では研究員として留学経験のある京都大学を訪れました。スー・チー氏の来日は20134月以来のことでした。
       
      ■安倍首相との会談
      安倍首相は、少数民族との和平実現や貧困対策などに、今後5年間で官民合わせ8千億円規模の支援を行うと表明しました。ミャンマーとの関係を緊密化するとともに、東南アジアで存在感を増す中国に対抗したい考えと見られています。
      安倍首相は会談後の共同記者発表で、ミャンマー国内の水力発電所の改修や、少数民族地域への5年で400億円の拠出などを通じ、全面的に支援する意向を伝えました。
      また、ミャンマーの人材育成のため、日本の青年海外協力隊を派遣する取り決めを結びました。
       
      ■岸田外相との会談
      日緬二国間関係と対インドの連結性を強化することで一致しました。
      岸田外相は、ミャンマーが包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を歓迎しました。
      ミャンマー西部ラカイン州で仏教徒とイスラム系少数民族の対立が続いている問題について、岸田外相は、緊張緩和に向けた住民の生活向上のため客船3隻を供与し同州の避難民への食糧支援を行う意向を述べました。スー・チー氏は、「ラカイン州の問題は非常にデリケートであり、注意して対応しなければならない」「ミャンマー政府は法に基づいて対応している」と述べ、日本からの船の供与は同州の発展に資するとして感謝を示しました。
    • 経済動向

      ミャンマーは、国連による分類では「特に開発が遅れている」とされる後発発展途上国(2016年現在)とされ、世界的に見ても貧しい国であると言えます。軍事政権による国政運営は欧米の経済制裁を招き、外国からの投資を呼び込むことができず、1962年に「ビルマ式社会主義」を掲げたネーウィン体制が成立してから長年にわたって国家経済の停滞を招きました。

      しかし、2011年の民政移管後、民主化の進展とともに事態は急速に好転し、2015年度の外国投資は95億ドルと民主化以降最大となり、外国企業の投資が活発になっています。。2012年にはEU、米国による経済制裁が解除され、日本の円借款も再開しました。20137月にはEUによるミャンマーへの一般特恵関税(GSP)が復活しました。大胆な社会・経済改革も行われました。20123月には二重レートの是正、11月には外国投資法の改正、20137月には証券取引法の制定、201410月には邦銀メガバンク3行を含む外資銀行9行に営業許可発行を行い、ミャンマー政府は今までの方針を一転して、外国からの投資を積極的に誘致する姿勢を打ち出しました。

      ミャンマーは、もともとは、経済的ポテンシャルが非常に高い国です。人口5,141万人(2014年 外務省)を擁し、地理的にも中国、インド、ASEANという21世紀の巨大市場と国境を接しており、道路・鉄道交通面で地の利があり、また近海は海運上の要衝で海底資源も豊富です。また勤勉で親和的な国民性や、多くの人が英語を使用できるという点でも、大きな強みを有しています。軍事政権下においてですら拡大の一途を歩んできたミャンマー経済は、今後はさらに飛躍的な成長を遂げることが予測されています。

       

      下図のように、GDPの成長率は10%前後で推移しており、名目GDPは安定して伸びています。2016年の名目GDP740USドルです。

       

      【名目GDPの推移】(単位:10USドル(左軸)、%(右軸))

                                                     

      2016年はIMFによる推計値

      IMF World Economic Outlook Database, April 2016

       

       

      人口は伸びていますが、一人当たりGDPも上昇しています。1人当たり名目GDP2016年には1,416ドルと推定されており、2008年の705ドルから2倍に増加しています。

       

      【一人当たりの名目GDPの推移】(単位:USドル)

                                                                              

       

       

       

       

       

       

       

       

                                                                  

       2008年以降はIMFによる推計値

      出所:IMF World Economic Outlook Database, April 2016

       

       

      財政収支とインフレ

      新首都ネピドー建設と移転のために莫大な国家予算が投じられ、今世紀に入ってからは財政赤字額が増加を続けてきました。しかし、2010年に建設はおおむね完了し財政赤字は軽減されつつあります。また、国内外の緊張緩和による軍事費の削減も貢献していると言われています。

      また、遷都をファイナンスするために、政府が紙幣を大量に増刷してきたため、30-50%にも上る高いインフレ率が断続的に続いてきました。新首都建設の終了、政府の経済運営改革、食料品価格の安定などにより、2009年からインフレ率は一桁台に安定しましたが、2015年からは、公務員の給与引き上げ、電気料金の引き上げを受けて201511%201610%となっています。

       

      インフレ率と消費者物価指数の推移

                                                                                                                              

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      消費者物価指数は2006/7年を100とした指数※2016年はIMFによる推計値

       

       

      出所:IMF World Economic Outlook Database, April 2016

       財政収支の推移(単位:10億チャット)

                                                                                                                                                               

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      2016年はIMFによる推計値

      出所:IMF World Economic Outlook Database, April 2016 

       

       

       
    • 貿易

      軍事政権時代に著しい外貨不足になり、1998年から獲得外貨の範囲内に輸入を制限する措置がとられてきました。しかし、民政移管後に、外国からの投資拡大とともに輸入規制は緩和され、貿易の自由化が段階的に進んでいます。このため、2012年度には貿易赤字となり、2013年度に赤字額は25USドルに、2014年度には41億ドルに拡大しました。

      一方で、2011 年より輸出税の段階的引き下げも行われています。また、主力輸出品である天然ガス田の開発が活発に行われており、資源依存度の高い輸出主導型貿易へと移行すると見られています。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      年度は4月~3

      2012 4 月に為替の二重レートが統一管理変動相場制移行。それ以前は公表値がチャットのみ。

      出所:JETRO

       

      輸出

      ミャンマーの輸出額の約4割が天然ガスで、そのほとんどがパイプラインによる隣国タイと中国向けです。2013年には天然ガス価格の下落と、タイ向けパイプラインのメンテナンスのための一時的な供給停止があり10%減となりましたが、新規海上ガス油田開発の進展により2014年には10%増と戻りました。今後も天然ガスは最も重要な輸出品目となると思われます。

      一方、経済発展による国内エネルギー需要の急増により、ミャンマー政府は2013年度から2014年度にかけて、一定量を国内大口需要家向けに確保し、タイ、中国へのパイプライン輸出を制限する措置をとりました。しかし、外貨獲得においても国庫収入においても大きな比重をもつ天然ガス輸出制限はマイナス面も大きく、政府の舵取りが今後も注目されます。

      その他の輸出品目には、インド向け豆類などの農産品、縫製品や製靴製品、中国向け翡翠などの宝石など、様々な製品が輸出されるようになり、特に豆類、コメ、卑金属・鉱石、トウモロコシの金額が伸びてきました。縫製品は韓国や日本向けの委託加工に加えて、かつて花形だった欧米向け輸出が、20136月にEUが一般特恵関税(GSP)の再開を正式に発表し、米国はすでに禁輸措置をほぼ全面的に解除したことから、復調することが期待されています。中国やタイの人件費高騰などにより、縫製業などの労働集約的産品は、今後さらに輸出量を増やしていくであろうと思われます。

       品目別輸出額(単位:100USドル、%

       

      2013/14

      2014/15

      金額

      金額

      構成費

      伸び率

      天然ガス

      3,299

      5,179

      41.4

      57

      豆類

      896

      1,140

      9.1

      27.2

      縫製品

      885

      1,023

      8.2

      15.7

      翡翠

      1,012

      1,016

      8.1

      0.6

      コメ

      460

      652

      5.2

      41.7

      卑金属・鉱石

      130

      440

      3.5

      238.5

      トウモロコシ

      286

      393

      3.1

      37.4

      魚類

      311

      227

      1.8

      Δ27.2

      ゴマ

      341

      182

      1.5

      Δ46.6

      その他

      3,585

      2,270

      18.1

      Δ36.7

      合計

      11,204

      12,524

      100

      11.8

       

      ※年度は4月~翌3

      出所:JETRO

       

      国・地域別に輸出を見ると、中国が天然ガスの輸出開始で前年比60.6%増の467,400万ドルで、タイを抜いて1位に浮上しました。その他の対中輸出ではコメが7%、トウモロコシが5%、緑豆が3%など、農作物が中心です。タイに対する輸出では、輸出額の8割(20153月で79.5%)を天然ガスが占めています。輸出先3位はシンガポール(前年比9.3%増)、4位はインド(前年比34.8%減)、5位は日本(前年比9.3%増)で、上位5か国で輸出総額の85.9%を占めています。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      出所:ARCレポート ミャンマー 2015/16

       

      輸入

      軍政下での輸入規制が民政移管後に緩和され、輸入は大きく伸びてきました。

      品目別では、前年に一般・輸送機械が大きく増加したため、14年度に落ち込みましたが、輸入額の約2割を占めています。天然ガスなどの資源開発、ヤンゴンやネピドーなどオフィスビルやホテル建設があり、鉱工業用輸送機器、建設機材が大きく伸びたため、13年度に大きく増加し、落ち着いた状態です。また、一般・輸送機械の輸入額には、2011 年に中古自動車輸入の規制緩和されたことにより急増した日本からの中古車も含まれます。次いで、ディーゼル油を中心とした石油製品も急増しており、15.5%を占めています。

      国・地域別に見ると、軍政時代から緊密な関係を保ってきた中国が2007年からトップを続けており、輸入額の約3割を占めています。次いで、ディーゼル油を中心とした石油製品の多いシンガポールが25%、日本、東西経済回廊(アジアハイウェイ)上に位置するミャワディとメソットでの国境貿易が伸びているタイがそれぞれ約1割となっています。中国は一般機械および電気機器、卑金属など、シンガポールは石油精製品および一般機器、卑金属など、日本は自動車や一般機械など、タイは一般機械と電気機器、各種建設資材などでした。中国とシンガポール、タイ、日本の上位4か国で全体の76%を占めています。好調な経済成長を背景に国内における資本財と消費財の輸入が拡大しており、中国、ASEAN、日本、インドなどのアジア各国を中心に今後も貿易拡大が続くものと見られています。

       

        品目別輸入額(単位:100USドル、%

       

      2013/14

      2014/15

      金額

      金額

      構成費

      伸び率

      一般・輸送機械

      4,145

      3,387

      20.4

      Δ18.3

      石油製品

      2,300

      2,576

      15.5

      12

      卑金属・同製品

      1,543

      1,346

      8.1

      Δ12.8

      電気機械・器具

      708

      380

      2.3

      Δ46.3

      食用植物油

      515

      341

      2.1

      Δ33.7

      プラスチック

      468

      326

      2

      Δ30.4

      セメント

      204

      301

      1.8

      47.6

      医薬品

      253

      300

      1.8

      18.7

      その他

      3,623

      7,676

      46.2

      111.9

      合計

      13,760

      16,633

      100

      20.9

      ※年度は4月~翌3

      出所:JETRO

       

      国・地域別輸入額(上位15か国)(単位:100万ドル、%

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      出所:ARCレポート ミャンマー 2015/16

       

       

    • 産業別動向

      ミャンマーの産業別GDPを見てみると、農林水産業が約3割、鉱工業が約3割、サービス業が約4割となっています。農業人口は軍事政権時代から伝統的に高く、今でも就業人口の6割を占めることから、典型的な農業国と言えます。しかし、近年の経済成長はエネルギー輸出に牽引されつつも、内需が拡大してサービス産業が成長しており、GDP比率で4割程に成長しています。本格的な工業化はこれからですが、特に労働集約的な製造業にポテンシャルがあると言われています。今後の産業動向については、付加価値生産が盛んになると予測されています。

       

      GDP産業別構成比(市場価格)】

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

                        出所:アジア開発銀行(ADB

       

       GDP産業別構成比の推移】

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

                                        出所:アジア開発銀行(ADB

      農業

      ミャンマーは東南アジア大陸部でもっとも広大な国土を持ち、農業に適した環境(気候、土壌、河川)に恵まれた農業国です。特に、軍事政権時代に農業に重点を置いた政策のもと作付面積の増加が図られ、GDPに占める農業の割合は長らく4割~6割を占めてきました。しかし、近年の経済成長によるサービス業の伸びによって、2009年度に4割を切り、2012/13年には3割にまで縮小しています。それでも労働力人口の約5割、全就業者数の約6割が農業に従事しており、主要産業であることには変わりありません。

      エーヤワディー川下流域に広がる広大なデルタ地帯は、肥沃で降雨量が多く、稲作が盛んな地域です。ミャンマーの米生産量は2,832万トン(2013/4年、農業・灌漑省)で、世界第7位で、政府は稲作を農業の柱として、米を主要輸出産品のひとつと捉えています。

      しかし、農業の生産の効率化や、1次産品に付加価値をつけて輸出する設備や技術に課題があると言われています。そこで三井物産や伊藤忠などの総合商社が、欧米穀物メジャーに先んじてミャンマーの米やゴマ、バナナなどの農業分野に参入しました。 

      天然ガス・石油

      ミャンマーの天然ガスの生産量は21世紀に入って増加傾向にあります。2013年には生産量約131億㎥となり、その7割がパイプラインでタイに供給されています。ミャンマー南部の沖合に位置する、ヤダナ沖合ガス田、イエタグンガス田に加え、2014年にゾーティカガス田が操業を開始しており、各ガス田はバンコクまでパイプラインでつながっています。その他、この地域には有望な鉱区が複数あり、タイ国営石油会社(PTTEP)や、三井石油開発やJX開発など日本企業が共同開発しています。

      一方、ミャンマー中西部では、韓国の大宇によりラカイン州沖合のシュエガス田が開発され、2013年から生産を開始しました。同年7月に、ミャンマー第2の都市マンダレー近辺を経由して、中国雲南省の昆明地方へ結ぶ全長2,400㎞の天然ガス・パイプライン(CMP)が開通し、中国向けの供給がスタートしています。年間の輸送容量は120億㎥と言われ、シュエガス田の生産拡大にともない中国向け供給量も飛躍的に増加するものと見られています。

      さらに、未開発の深海鉱区の開発権益には、欧米メジャーや、中国、タイ、日本、韓国、タイなど数十社が参加の意思表明をしています。2013年には、海洋及び陸上の鉱区国際入札が実施され、第1次海洋工区入札には全世界から30社が入札に参加、シェブロンやシェルの石油メジャーを含む18社が鉱区を取得し、2015年に環境アセスメント、16年にアセスメント検証が実施されるなど、着々と進んでいます。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      出所(地図):Australian National University

       

       

        

       

       

       

        

       

       

       

      出所:BPEIAより作成

       

      縫製、履物

      中国・タイにおける人件費上昇にともない、ミャンマーへのチャイナプラスワン、タイプラスワンの動きが加速していますが、そのもっとも顕著な分野が縫製や履物などの労働集約型の製造業です。ミャンマーでの人件費はおおよそ中国の2割、ベトナムと比べても3-4割と言われ、今後はグローバルなサプライチェーンの中で、労働集約的な製造業の受け皿になることが期待されています。

      紡績、紡糸など繊維産業の川上分野が未熟なミャンマーにおいて、縫製業の業態は、生地を中国やインドネシアなどから輸入して、国内で縫製し、日本や韓国へ完成品を輸出する委託加工取引(CMPCutting, Making, Packing)です。民政移管以降のアメリカへの輸出解禁にともない、さらなる成長が期待される分野ですが、カンボジアやバングラデシュなどとの国際競争がより厳しくなることも必至です。欧米などの外資も呼び込んで、CMPに限らずに自主生産輸出(FOBFree On Board)の比率をあげられるかどうかが、今後の繊維産業育成の鍵と言われています。

       

      木材

      ミャンマーは地理的に広範で気候帯も多様であるために、様々なタイプの森林があります。国土の森林率は減少傾向にありますが、49.4%農業・灌漑省”Nyanmar Agriculture in Brief 2014”より)と依然として多くを占めています。

      中でも熱帯雨林帯にある混交落葉樹林では高級木材であるチーク材が取れることが有名で、世界の8割近いチークがミャンマーにあると言われています。ミャンマーの森林はほぼすべてが国有林で、森林保護を理由にチークの伐採は林業省によって制限されており、20144月から原木の輸出は禁止されています。

      ミャンマーの木材輸出は、一般材木の床材や壁材、ベニヤ板など半製品が多く、切り出した材木にあまり付加価値を加えられずに輸出されてきました。今後は、国内で家具やボートなどの高付加価値型の製造業が育成されることが期待されています。

      経済成長にともなう、国内マーケットでの建築・住宅需要の伸びが予測されており、ミャンマー政府による環境保護と産業育成のバランスのよい舵取りが求められるところです。

       

       
    • Latest News & Updates

      【チン州にDICAの支店が設置予定】
      投資企業管理局(DICA: Directorate on Investment and Company Administration)は、チン州に20179月にDICAの支店を設置すると発表しました。DICAは会社登記等を行う管理局になります。チン州は、インドとバングラデシュに隣接している州で、ハッカを州都としています。外国人立ち入り禁止特別区も設置されている州になっています。DICAの管理局長は、チン州の経済の発展は他の州に比べて遅れていることから、チン州の発展のために、支店が設置されることとなったと話しています。DICAは、今年中にミャンマー全土にDICAの支店を設置していく予定としており、その一歩を踏むことになります。
       
        【MIC優先投資項目の発表】
      ミャンマー投資委員会(MIC: Myanmar Investment Commission)は627日、投資に関して優先セクターとなる10項目を発表しました。農業や畜産業が含まれており、外国人投資家、ミャンマー市民の投資家に問わず両方の投資を歓迎するとしています。今回発表された10項目に関しては以下の通りです。
      1)農業、農業に関連するサービス、付加価値生産された製品
      2)家畜生産、繁殖、水産物製造
      3)輸出振興産業
      4)輸入代替産業
      5)電力
      6)物流業
      7)教育サービス
      8)ヘルスケア産業
      9)中低所得者向け住宅の建設
      10)工業団地の設立
      20161018日に新投資法が発行され、2017330日に付随規則が発行され、投資が簡易化されました。その後、多くの投資をミャンマーに呼び寄せるために、優先セクターとなる10項目を発表がされました。
       
       
      [新投資法について]

      【新投資法の発効】
      20161018日付で、ミャンマー投資法(Myanmar Investment Law)が新たに発効されました。従来、ミャンマー市民投資法とミャンマー外国投資法という形で、ミャンマー人による投資と外国人による投資を異なる法律で規定していましたが、両者を統一の法律で規定するようになりました。また、法規等で定められた事項を除き、同等の取り扱いを行う事を定めています(47条)。
      なお、旧法に基づき投資許可を得たプロジェクトについては、新投資法の適用は除外されています(4条)。また、ミャンマー投資規則(Myanmar Investment Rules)の発行から2年間が移行期間として設定されています(規則2(v))。
       
      【新投資法における投資申請等の枠組み】 新投資法下では、「投資許可申請書(Proposal)の提出」とは別に「承認申請書(Endorsement Application)の提出」といった手続きが用意されています。投資内容が、規定された項目に該当する場合にのみ、投資許可(Permit)を取得することを要請しています(36条)。新たに設置された承認(Endorsement)については投資許可が不要な場合で、土地の長期リースや租税減免措置  のインセンティブを受けたいときに求められる手続とっています(37条)。
       
      <投資許可申請 (Investment Permit)  
      投資法36条の項目に該当する場合、土地の使用権、租税減免措置の申請が可能    
       
      <承認申請 (Endorsement)  
      投資法36条の項目に該当しない場合、土地の使用権、租税減免措置の申請が可能   
       
      <いずれも無し>  
      投資法36条の項目に該当しない場合、土地の使用権、租税減免措置の申請は不可  
       
      【投資許可申請が必要な投資】  以下の場合、投資許可申請が必要となります。
      ①国家戦略上、不可欠な投資活動(36(a)、規則3条)
      ②大規模な投資活動(36(b)、規則4条)
      ③環境や地域社会に大きな影響を及ぼす可能性が高い投資   活動(36(c)、規則5条)
      ④国有の土地や建物を使用する投資活動(36(d)、規則6条)
      ⑤投資委員会への投資許可申請が必要と政府が定める投資活動(36(e)、規則11条)  
       
      【投資許可申請手続きの概要】 
      従来通り、投資委員会へ投資申請書(Proposal)を提出(36条、規則41条)。  
       
      投資委員会は、投資許可申請提出後15営業日以内にPAT (Proposal Assessment Team)による評価を行い、受理するかどうか判断し、受理しない場合には、不受理の日から5営業日以内に投資家へ理由とともに通知(規則47条、48条)。  
       
      投資委員会は、投資許可申請書が受理後60日以内に審査を行い、許可する場合には、許可の日から10日以内に投資許可証を発行(規則49条)。  
       
      【承認申請手続きの概要】 
      ①投資委員会または州管区投資委員会は、承認申請提出後15営業日以内に評価を行い、受理するかどうか判断して、受理しない場合には、不受理の日から5営業日以内に投資家へ理由とともに通知(規則71条)。  
       
      ②投資委員会または州管区投資委員会は、承認申請書が受理後60日以内に審査を行い、承認する場合には、承認の日から10日以内に承認証を発行(規則72条)。  
      ※投資金額が500万米ドル以下または60億チャット以下の場合には、州管区投資委員会(State and Regional Investment Committees)が承認手続きを行う(MIC通達No.11/2017  
       
      【禁止業種(41条)】
      有害または有毒な廃棄物をもたらす、または引き起こす可能性のある投資活動(41(a)
      検査中または未認可の栽培等の技術、医薬品、動植物、物品を持ち込む可能性のある投資活動(41(b)
      ミャンマー国内の民族の伝統的な文化や慣習に影響を与える可能性のある投資活動(41(c)
      公衆に影響を及ぼす可能性のある投資活動(41(d)
      自然環境や生態系に重大な影響を与える可能性のある投資活動(41(e)
      法律によって禁止されている物品の製造やサービスの提供を伴う投資活動(41(f)  
       
      【規制業種(42条、43条)】 
      2017410日付で、規制業種リストに関する通達が投資委員会より発行(MIC通達No.15/2017)。 
       
      政府のみが実施することを認められている投資活動(42 (a)、通達1(a)
      外国投資家による実施が認められない投資活動(42(b)、通達1(b)
      ミャンマー人または企業との合弁会社(ミャンマー側最低20%)のみ実施することを認められている投資活動(42 (c)、通達1(c)22条)
      関連省庁からの承認が必要な投資活動(42(d)、通達1(d)    
       
      【投資奨励業種(43条)】 
      201741日付で、投資奨励業種リストに関する通達が投資委員会より発行されている(MIC通達No.13/2017)。租税減免措置等のうち、法人税の免税については、投資奨励業種のみ与えられることになっています(75(c)、通達2条)。  
       
      【租税減免措置等の概要】 
      法人税免税(75条)  
      投資委員会が定めた投資奨励業種のみ、法人税免税が与えられる(MIC通達No.13/2017)。
      投資委員会が定めた地域区分ごとに、7年、5年、3年に区分される(MIC通達No.10/2017)。  
       
      ミャンマー人の投資に対する特別の措置(76条)  
      ミャンマー政府は、ミャンマー人所有の事業や企業に対して、補助金、能力開発等の援助を行う事ができる。  
       
      関税その他の租税の減免(77条)    
       
      建設期間および準備期間の設備機械・建設資材等の輸入品目にかかる関税等の減免措置(77(a))。 輸出型製造業において、輸出製品の生産のための輸入原材料等にかかる関税等の減免措置(77(b))。 製造業において、輸出品目の生産のための輸入原材料等にかかる関税等の還付(77(c))。 追加投資を行う場合の設備機械・建設資材等の輸入品目にかかる関税等の減免措置(77(d))。  
       
      その他の租税減免措置(78条)  投資事業から得られた利益を1年以内に再投資した場合の法人税の減免措置(78(a))。 規定された耐用年数よりも短い耐用年数に基づく減価償却率を用いた償却を行う権利の付与(78(b))。 ミャンマー国内で行われた、ミャンマーの経済発展のために必要な研究開発費を損金算入する権利の付与(78(c))。  
       
      【租税減免措置等の申請手続き概要】 
      投資許可または承認を得た、もしくは申請中の投資家は税制優遇措置の申請を行うことができる(規則80条)。  
      法人税免税については、投資を行った地域のZone区分により、免税期間が決定される(75(a))。なお、複数の地域で投資を行う場合には、投資額合計の65%を超えるZoneを判定基準とする(規則83条)。  
      税制優遇措置の適用には、基準が定められており、必須基準として、資本金が30万米ドル超と規定されている(規則91(d))。その他、投資活動に応じて、雇用創出や技術移転等が考慮される(規則91(g)(h)(i)(j))。  
       
      【土地使用権の概要】 
      ①投資許可または承認を得た投資家は、国有または私有の土地または建物の長期リースを行う権利を有し、ミャンマー人投資家は、自己所有の土地または建物を投資することができる(50(a))。
      外国人投資家は、土地または建物を50年間までの期間   で長期リースすることができる(50(b))。その後、10年間の延長を2回行うことができる(50(c))。
      ③新投資法下では、投資許可または承認を得た後に、土地   使用権の承認申請を行う必要がある(規則116条)。  
       

       
      【投資関連法の公布】

      DICA(投資企業管理局)は「ミャンマー投資関連法」を発表しました。以下の法律などが投資関連法として列挙されています。
      1. 特別物品税法 (2016)
      2. 連邦税法 (2016)
      3. 賃金支払法 (2016)
      4. 金融機関法 (2016)
      5. 仲裁裁判法 (2016)
      6. 中小企業開発法 (2015)
      7. 競争法(独占禁止法) (2015)
      8. ミャンマー経済特別区条例 (2015)
      9. 環境アセスメント手続き (2015)
      10. 改正商業税法 (2014)
      11. 消費者保護法 (2014)
      12. 環境保護条例 (2014)
      13. ミャンマー経済特別区法 (2014)
      14. 改正所得税法 (2014)
      15. マイクロファイナンス監督委員会命令No. 1/2014
      16. マイクロファイナンス監督委員会命令No. 2/2014
      17. ミャンマー最低賃金法 (2013)
      18. 雇用及び技能開発法 (2013)
      19. 中央銀行法 (2013)
      20. 取引安全法 (2013)
      21. 歳入 – 税法 (2012)
      22. 外国為替管理法(2012)
      23. 輸出入法(2012)
      24. 歳入 – 税規制 (2012) 等
       
      英語版が公開されていますので、全文は以下のURLをご参照ください。
       
       
       
      所得税免税地区と免税年数の発表】
       
      MIC(ミャンマー投資委員会)は222日、法人所得税免税を受けられる地域についての通達を出しています。国内への投資の誘致を目的として、MICは、進出企業が3~7年の免税を受けられる地区を設置しました。
      免税期間は地区の発展度により定められ、後発地区程長い免税期間を得られるようになっています。ゾーン133つの地区に分けられ、低開発地域には7年、中度開発地域には5年、高度開発地域には3年の免税期間が設定されています。
      免税期間は継続して取得する必要があります。
      地区の分類は行政郡区毎に定められており、詳細な郡区(タウンシップ)名はDICA(投資企業管理局)ホームページにMIC通達No.10/2017として公開されています。
       
      MIC通達No.10/2017
      (原文・ビルマ語) こちらです。
      DICAによる非公式英訳)こちらです。 
       
      低開発地域のゾーン1(免税期間:7年)には、カチン州の14郡区、カヤ州の7郡区、チン州の9郡区、サガイン地域の34郡区、タニンダーリ地域の4郡区、バゴー地域の5郡区、マグウェ地域の13郡区、エーヤワディ地域の10郡区、マンダレー地域の2郡区、モン州の2郡区、ラカイン州の17郡区、シャン州の42郡区が分類されました。
      中度開発地域のゾーン2(免税期間:5年)には、カチン州の4郡区、サガイン地域の3郡区、タニンダーリ地域の7郡区、バゴー地域の23郡区、マグウェ地域の12郡区、マンダレー地域の13郡区、モン州の8郡区、ヤンゴン地域の13郡区、シャン州の14郡区、エーヤワディ地域の17郡区、ネピドー連邦領の8郡区が分類されました。
      高度開発地域のゾーン3(免税期間3年)は、マンダレー地域の14郡区とヤンゴン地域の32郡区です。
      地域の分類は、地域と州の発展状況とニーズに基づいて定められています。

       

    • ミャンマーの投資環境 ~アンケートから見る~

      ■日本企業(製造業)を対象としたアンケートより
      JBIC(国際協力銀行)が行っている、「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査-2015年度海外直接投資アンケート結果(第27回)-」によると、長期的に見て事業展開が有望と思う国として、ミャンマーは10位です。
      有望と思う理由として、7割近くの企業が「現地マーケットの今後の成長性」を挙げています。ASEANで4番目の人口を抱えるミャンマーが経済成長を遂げれば、大きな国内マーケットが誕生することになり、大きな期待が寄せられています。ただし、2013年に30年ぶりに行われた国勢調査の暫定値によると、ミャンマーの人口は予測値を1千万人近くも下回る5,141万人でした。新たな統計情報に基づいて戦略の見直しが必要であるとの声もあり、今後の投資傾向の変化に注視する必要があります。
      また、半数の企業が「安価な労働力」を魅力に挙げています。2015年9月に「1日3,600チャット(360円程)」と最低賃金が設定されましたが、それでも給与水準はASEANで最も低く、中国の5分の1、タイの3分の1とも言われています。「投資に係る優遇税制がある」ことも大きな魅力のようです。2015年9月に部分開業したティラワSEZでは、進出する外資系企業は最長12年に亘って法人税の減免措置を受けることができます。
       
      一方、課題として、7割近くの企業が「インフラの未整備」を挙げています。不安定な電力供給や上下水道の未整備が問題と言えるでしょう。課題の2位は「法制が未整備」であり、これは投資先として有望とされる上位10か国の中で最も高い回答比率でした。課題に関して、「治安・社会情勢が不安」「法制の運用が不透明」と続いています。
       
      【中期的(今後3年程度)有望事業展開先国・地域(複数回答可)】 
       
       
      出所:JBIC「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(第27回)」
       
      ■ビジネス環境の現状2016(アンケート)より
      世界銀行と国際金融公社(IFC)が2013年10月に発表した「ビジネス環境の現状2014」にミャンマーが初登場し、それから毎年登場しています。「ビジネス環境の現状2016」では、総合順位が189の国と地域中167位とランクされ、2015年の177位から10位順位を上げています。経済発展が期待される後発ASEAN諸国のベトナム(90位)、カンボジア(127位)、ラオス(134位)と比べても、ビジネス環境は未整備と評価されています。
      将来性に期待が集まり世界中から注目されているミャンマーですが、法制の未整備や不透明さ、インフラ不足など課題が大きいと言われており、経済改革にともなう規制緩和も始まったばかりですので、いまだに多くの障壁があることも事実です。しかし、ミャンマーのビジネス環境は、順次整備されていくものと見られており、今後はランキングも上がっていくことでしょう。
       
       

    • 金融(株式)市場

      ミャンマーでは1990年代から証券取引所の設立計画がありましが、アジア通貨危機(1998年)、ミャンマー銀行危機(2003年)などにより設立プロジェクトは停滞してきました。

      しかし、民政移行後の経済改革路線への変化とともに、証券取引所の設立は現実的なものとなりました。2012年、大和証券グループと東京証券取引所が、ミャンマー証券取引所設立支援に関する覚書をミャンマー中央銀行と締結し、上場審査基準などの規則面の設計の他、システムの提供や人材育成まで、金融インフラ整備を広範に支援することとなりました。

      東南アジアでは、韓国がカンボジアやラオスの証券取引所設立・運営に積極的に出資をしており、日本にとってはミャンマーでの官民をあげた取り組みが、新たなケースとして注目されています。

      201512月にヤンゴン証券取引所(Yangon Stock Exchange)として設立されました。20166月現在、不動産業を手掛ける地元財閥のファースト・ミャンマー・インベストメント(FMI)、ティラワ経済特区の開発を行うミャンマー・ティラワSEZホールディングスの2社が上場しています。

    • 為替レート

      旧来よりミャンマーには、公定レート、政府公認レート、市場レートといったレートの異なる多重為替制度があり、経済発展の足かせになっていました。わずかなチャットで外貨を手に入れるために政府が設定した公定レート(56チャット/USD)は、政府や国有企業が他国間との取引のみに適用されるもので、市場レートは通常の経済活動に適用される実勢レートです。公定レートと市場レートの間には100倍以上もの乖離があったため、外国投資家にとっては、ミャンマー政府や国有企業への取引においての投資額が極端に低く評価されてしまうという弊害があり、投資を敬遠させる原因となっていました。

      こうした長年の弊害を排除するため、為替制度の改革が行われ、20124月に二重為替相場制度が廃止されました。為替制度は市場レートに一本化され、1日の変動幅を一定範囲内に抑える管理フロート制へ移行しました。さらに、20137月には外貨兌換券(FEC: Foreign Exchange Certificate)も廃止されました。

      公定レートを使用してきた政府や国営企業にとっては負担増となりますが、外国投資の足かせであった多重為替問題が解消したことは、外国投資環境の向上を促進し、経済発展を目指すミャンマー経済にとって大きな改革がなされたものと評価されています。

      管理フロート制に移行してからの対ドルレートは、チャット安傾向が続いていましたが、20155月には特にチャット安が進み、1100チャット/USDを割り込みました。最安時より落ち着いたものの、現在もチャット安の傾向は続いています。対タイ・中国の貿易が多いため、影響を受けて推移しています。

       

       

                                                   【為替レートの推移(USドル/チャット)】             

           

                                                                                                                             

       

       

       

       

       

       

       

       

                                                                                                                                                                                                                      出所:Oanda 

       

       

    • 外国直接投資(FDI)額

      ミャンマーへの外国直接投資は、2011年の民政移管とその後の欧米各国などの経済制裁解除を契機として、投資国や投資対象分野などが劇的に変化しています。軍事政権時代のミャンマーは親中国として知られており、中国からの投資が圧倒的に多く、香港、韓国、タイを含む4カ国・地域からの投資がほぼ100%近くを占めていました。内容は、ガス田開発、パイプライン建設、ダム・水力発電所建設などのエネルギー関連の数件の大型プロジェクトです。2010年には1,999USドルという過去20年分の外国投資額を上回る巨額の投資が行われ、その9割以上が天然ガスと電力分野でした。

      民政移管後は、ミャンマー政府は中国一辺倒の外交姿勢を見直して、国際社会に復帰すべくバランス外交を取り始めました。2011 9 月にテイン・セイン大統領は、中国による43USドルの投資によるカチン州ミッソンダム開発の凍結を宣言し、その後、両国間に一定の距離が生じたと言われ、中国からの投資は減少傾向にあります。2012年にはミャンマー国営企業と中国企業とによる銅山開発に対して、住民の大規模デモもありました。中国による投資案件において様々な問題が噴出していると言われています。

      一方、投資が活発に行われるようになった分野は、製造業、輸送・通信、不動産、ホテル・観光などです。

      韓国や日本からは、縫製業、製靴業などの投資が相次いでおり、比較的小規模の投資も含め、件数が多いのが特徴です。さらに、木材加工や食料品などの労働集約型産業の投資案件も増え始めています。国策として工業団地を整備して外資を誘致しようとしている政府の積極的な姿勢から、委託加工契約(CMP)による製造業は最も成長が見込まれる分野であると言えます。

      また、工業団地など産業インフラ整備への投資も活発です。従来は、三井物産とミャンマー政府が共同開発したミンガラドン工業団地が唯一の外資による工業団地でした。しかし、近年では、三菱商事、丸紅、住友商事によるティラワ工業団地の建設が進み、20159月に開業しています。産業インフラ不足が課題とされるミャンマーにおいては、工業団地のようなインフラ投資が先行することで、その後の製造業の投資を大きく呼び込むことができると考えられます。また、2015年にはベトナム企業ホアン・アイン・ザーライ(HAGL)がミャンマーでの不動産開発に進出し3 USドルを投資し複合施設を建設されています。20166月現在、まだ全ての施設が完成したわけではありませんが、大型ショッピングセンターやオフィスはオープンしています。アジアを中心としてミャンマーのインフラ整備に投資する機運が高まっていると言えます。

      国・地域別の投資額・件数でもっとも多くを占めるのがシンガポールですが、これはミャンマーとシンガポールの租税条約により二重課税が回避できることなどによるもので、投資元の企業には通信分野に進出を決めたノルウェーのテレノール社やカタールのOoredoo、ペプシコなどの欧米系他国籍企業も含まれています。

      「東洋最後のフロンティア」と呼ばれているミャンマーへの外国投資国・地域とその規模や業種の幅が飛躍的に大きくなっており、今後もさらに世界的に注目されていくこととなるでしょう。

       

    • インフラの状況

      世界経済フォーラムが行っている、「世界競争力レポート(The Global Competitiveness Report2013-2014」によると、ミャンマーのインフラの総合評価は148カ国中146位という世界的にも低いランクにあります。CLMVのラオス(65位)、カンボジア(86位)、ベトナム(110位)や、バングラデシュ(134位)などの経済成長が見込まれるアジア諸国の中にあって、もっともインフラ整備が遅れていると言われています。

      各インフラの評価は、道路138位、鉄道104位、港湾136位、空港146位、電力118位、固定電話127位、携帯電話148位となっています。輸送・通信・電力ともに低いランキングにありますが、外国投資を呼びこんでのインフラ整備が進んでいるため、今後は順位をあげていくものと思われます、

       

      港湾

      エーヤワディー川が2千キロ以上に亘って国土を南北に貫いていているミャンマーでは、昔から水運は生活に欠かせない輸送や移動の手段です。しかし、下流域に広がるデルタ地帯の河川港は水深が浅いため、産業輸送、特に輸出入において重要な大型船の接岸ができない港湾がほとんどです。

      そのため、タイ国境に近いダウェイ港、中国へのガス・パイプラインの起点であるチャオピューなどの深海港の建設が急ピッチで進められています。ミャンマーの内陸部の道路網が未整備である実情により、これらの港湾施設から移動距離の少ない沿岸部や国境地帯において、港湾施設と隣接したかたちでの工業団地の建設が優先的に進められています。

      また、近隣国にとっては、インド洋につながるベンガル湾に面したミャンマーの港湾は重要な意味を持っているため、各国の思惑を背景に経済支援が進められており、国際的にも注目されるところです。

       

      [ヤンゴン港/ティラワ港]

      従来からミャンマーの主要港として海運の要であったヤンゴン港は、ヤンゴン市内にあり、周囲に点在する工業団地も近くに位置しますが、水深が浅いために大型船が接岸できません。しかし、ヤンゴン港はヤンゴン市中にあるため大型改修には限界があるとされ、ヤンゴン市から南方25kmのティラワ地区に、新たにティラワ国際港(MITTMyanmar International Terminals Thilawa)が建設されることになりました。ティラワ国際港の一部は1996年に竣工したものの、軍事政権時代には国際的な支援が得にくい状態が続き開発が遅れてきました。しかし、民政移管後の2012年、日本政府は25年ぶりとなるミャンマー円借款でティラワ国際港の整備支援することをミャンマー政府と合意しました。今後は今まで以上に急ピッチで港湾施設の整備が進められることが予想されます。2015923日、ティラワ工業団地は部分開業しました。

       

      [ダウェイ港]

      ダウェイはタイとの国境近くにありヤンゴンから600㎞、バンコクから350㎞に位置するベンガル湾に面した港町です。タイにとっても、マラッカ海峡を経由しないインド洋へのルートを確保するという意味で戦略的に重要な位置づけにあるため、タイが支援しています。軍事政権時代にもすでにダウェイ地域には大型開発計画がありましたが、資金調達の問題から計画が停滞していました。しかし、2010年にダウェイ深海港の整備が工業団地開発とともに進められることがあらたに決まり、2013年には、ミャンマー政府とタイ政府の共同事業体が設立され、新たな枠組みで開発が進められることになりましたが、20157月には日本とメコン5か国(タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー)首脳会議が開かれ、日本とミャンマー、そしてタイ政府が開発協力に関する意図表明覚書(MOI)に署名しました。これによって、ASEANで最大級のSEZが動き出すとみられますが、完成には30年以上を要するとみられています。

       

      [チャオピュー港]

      ミャンマー西部、ヤンゴンの北西400kmに位置するチャオピューは、シュエガス田などの資源開発で注目されている港町です。20136月に中国雲南省につながる天然ガス・パイプラインが開通し、石油パイプラインや国際道路の計画もあります。中国内陸部とベンガル湾をつなぐ物流の戦略拠点としての役割が期待されており、資源開発と合わせて、中国主導による水深15mの深海港と工業団地の開発が進められています。しかし、ミャンマーと中国の関係の変化により、チャオピュー中国雲南省間の鉄道計画が棚上げとなるなど、チャオピュー開発には不透明な要素も多いと言えます。

       

      [シットウェ港]

      シットウェはチャオピューの北西100㎞に位置し、やはりガス田開発で注目されている港町です。インド北西部からカラダン川を経た水運の拠点としてインドにとっても重要な位置づけにあります。そのため、インド主導により深海港の開発が進められています。

       

      【建設(計画)中の新港】

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

                                        出所:JETRO 

      鉄道

      ミャンマー国内には総延長約5,876kmの鉄道網があり、ミャンマー国鉄(MRMyanma Railways)が運営をしています。最も重要な路線は、ヤンゴンネピドーマンダレー線です。英国植民地時代からの幹線ですが、設備の老朽化により、遅延や事故が多く、輸送能力や所要時間の改善が必要とされてきました。

      軍事政権時代は、中国内陸部からチャオピューへの路線開発など、中国主導による鉄道建設計画が優先されてきましたが、民政移管後に方針が転換されました。本来の最重要路線であるヤンゴンネピドーマンダレー線を整備することで、国内の輸送インフラの底上げを目指しています。

      20149月には、日本政府が総額200億円の円借款「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業フェーズ(I)」に調印し、2020年を目処にその一部であるヤンゴン・タングー間の整備・近代化を完了させる計画です。一方、中国昆明チャオピュー間の鉄道計画は棚上げとなっています。

      また、ヤンゴン市内には、東南アジア唯一の環状線(コミューター・レール)があります。47.5kmの複線の環状線に38の駅があり、1日に100本前後の列車が運行されていますが、やはり老朽化により輸送効率の悪さが課題とされています。2013年に策定された「ヤンゴン都市圏戦略的都市開発マスタープラン(SUDP)」によると、2040年にはヤンゴンは1,000万都市となることが予測され、環状線の近代化とバス路線の一体的整備が、悪化するヤンゴンの交通渋滞の解消につながるものと期待されています。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

                             出所:住友商事

       

      道路

      南アジアの地政学的な要衝に位置するミャンマーは、陸上交通インフラの発達が国内産業のみならず、近隣国からも強く望まれており、1988年にはアジアハイウェイ・プロジェクトに正式参加しました。しかし、軍政時代のインフラ整備の遅れのために、現状の道路整備状況はまだ良くありません。近年は、中国やインドなどの経済的隆盛によってミャンマーの道路網の必要性も高まり、タイも含めた近隣国の融資を受けた道路計画が急速に進行しています。

      2010年には、ヤンゴン-マンダレー間にミャンマー初の有料高速道路が開通しました。ミャンマー第1の都市と第2の都市を結ぶ所要時間は10時間から5時間へと大幅に短縮されました。2011年には、国境を越えてメコン地域をつなぐ「東西経済回廊」のタイとミャンマー国境であるメーソッドミヤワディ間が開通しました。ミャンマー側の山間地帯は1車線の片側通行で、上り下りの交互の通行制限があるなど、整備状況は良好とは言えません。しかし、バンコクとヤンゴンの従来の主要ルートは海路で21日を要していたものが、陸路により3日間へと大幅短縮されました。今後、ヤンゴンやその近郊のティラワSEZとバンコクを結ぶ陸上輸送が増加することは確実であり、そのためにも東西経済回廊のミャンマー国内での整備が急がれています。最大都市ヤンゴン市内の交通事情は、渋滞が深刻度を増しています。経済成長にともなう物流の増加、2011年に中古自動車の輸入が緩和されたため高性能車が増え交通事故が激増していること、ヤンゴンでは二輪車の走行が認められていないため、四輪車の増加スピードが速いことなども原因と言われています。立体交差などの道路改良工事が進められていますが、根本的な解決には程遠いと言われています。

       

              【アジアハイウェイ路線】

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

                        出所:国土交通省

       

       

      空港

      ミャンマーには、ヤンゴン、ネピドー、マンダレー、チャウピュ、ダウェイなど大小30以上の空港があり、そのうち、ヤンゴン、ネピドー、マンダレーが国際空港です。

      ヤンゴン国際空港の旅客数は2005年の73万人から2011年には145 万人と倍増しています。旅客数だけでなく貨物取扱量も急増しており、今後の航空需要はさらに高まる見通しです。そのため、ヤンゴン郊外に新たにハンタワディ国際空港の建設が計画されています。韓国の仁川国際空港公社が受注していましたが条件交渉が折り合わず、2014年に再入札となり、日揮などの企業連合が15USドルとなる建設プロジェクトの優先交渉権を得ています。

      また、マンダレー国際空港の旅客ターミナルなどの改修および運営事業権をJALUX(日本航空系)、三菱商事などの日本企業とミャンマー企業の連合体が落札し、運営が開始。

       

      電力

      ミャンマーの電力供給不足は深刻な状況にあり、電力設備の開発が望まれています。急増する電力需要に発電・配送電設備がついていかず、ヤンゴンなどの都市部では計画停電が頻繁に行われています。そのため、外資系企業の多くは自家発電機を導入しており、電力コストの高さが進出の阻害要因ともなっています。

      発電設備容量は2008/09年の1,848MWから2011/12年に2,857MW2012/13年が3,726MW2013/14年には4,146MWと大幅に増強されています。ミャンマー電力省による電力需要の予測では、2012年の1,875MWから、2030年に9,100MW14,542MWに激増するとしています。電力供給は、豊富な水資源を生かした水力発電に大きく依存し、2016年現在7割強を占めています。さらに中国による支援による中国向け電力輸出を想定した7つのダム・水力発電所の新規建設が進められていました。しかし、水力発電は季節変動が大きく、大型ダム建設による環境破壊の問題があり、建設に長い年月を要するためにすぐには電力供給量向上につながらないこと、山岳地帯に位置する水力発電所から都市部への送電設備が長距離となるといった問題点もあります。

      こういった水力発電の弱点に加え、中国一辺倒の外交の見直しもあり、ミャンマーのエネルギー政策は大きく舵を切ることとなりました。2011年に、テイン・セイン政権は、火力発電所の建設を優先させることを決め、エーヤワディー川上流に位置するチッソンダム建設工事の凍結を指示しました。すでに、20143月には一部火力発電所が稼働し、火力による発電量は大幅に増加していますが、需要も増加しているため予断は許せない状況にあります。

      ミャンマー政府は、Jパワーとの共同による石炭火力発電所や、韓国BKBとのガス火力発電所の建設計画を進めている他、外資への売電の自由化が進んだため、シンガポールのNavigat、丸紅、三井物産、東洋エンジニアリングなどの日系企業が次々と電力インフラに参入を決めました。日本のODAも本格的に動き出しており、ここへきてミャンマーの電力事情にはようやく改善の道筋が見えてきたといえるでしょう。

       

      通信

      固定電話はヤンゴンやマンダレーといった大都市を中心に若干ですが普及しつつありその普及率は46%程度、ミャンマー全体としては未だ1%程度に留まります。通信事業を独占してきたミャンマー郵電公社(MPT)の資金不足による通信インフラ未整備により、固定電話加入のために数年待ちということもあり得る状況です。

      携帯電話は、加入権料に相当するSIMカードの価格が大幅に引き下げられたため、固定電話の普及していない個人利用者の加入が増加しており、2013年には12.8%にまでなりました。ASEANではラオスとミャンマー以外は携帯電話の普及率は100%を超えており、その差はまだまだ大きいです。しかし、ミャンマー政府は規制緩和による外資導入により、2016年までに携帯電話の普及率を7580%に引き上げる方針で、今後の設備増強にともない加入者は飛躍的に伸びるものと見られています。

      ミャンマー郵電公社による通信事業の独占状態が順次開放されるべく、法整備も進められており、すでに2012年には香港のハチソン・グローバル(HGC)がミャンマー郵電公社子会社との提携による国際電話とデータ通信サービスへの参入を決めています。さらに、2013年にはノルウェーのテレノール社とカタールのオーレードー社がミャンマー国内通信事業者免許を落札し、携帯電話事業の開業準備に入っています。

      インターネットは、ミャンマー郵電公社、Yadanaporn Teleport(YT)により回線とプロバイダーサービスが提供されています。また、RedLink communications社などが回線を借り受け、光ファイバ、無線ブロードバンド、ADSL、ダイヤルアップ、WiMAX、及びiPSTAR衛星を用いてデータ通信サービスを提供しています。

      MPT20082月に、全国における衛星ブロードバンド・サービスを開始し、201011月には、通信衛星「Thaicom 5」を利用し、SKY NETというサービス名で、Shwe Than Lwin MediaYTと協力してサービスを提供しています。またWiMAXサービスが一部で開始されており、最大通信速度1Mbps程度で、広帯域で利用が可能なところもあります。

      国内約720か所のインターネットカフェやメールサービス代理店、一部のレストランで無料のWi-Fiサービスも提供されています。また、政府によるインターネット接続規制が厳しかったことも普及の阻害要因となっていましたが、2012年にはFacebookTwitterが閲覧できるようになり、インターネットの普及率は2010年の0.2%から2015年には12.6%と、急激に上昇しているとも言われています。なお、ミャンマー郵電公社はKDDI株式会社、住友商事と合弁事業を行っています。

       

               【携帯電話の登録数・普及率の推移】(単位:千件 %

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      出所:ITU (International Telecommunication Union)

       

       

                【インターネット普及数・普及率の推移】(単位:%

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      出所:ITU (International Telecommunication Union)

       

    • 経済特区(SEZ)と工業団地

      ミャンマーにはミャンマー建設省住宅局(DHSHDDepartment of Human Settlement and Housing Development)や建設業者によって建設された数十カ所の工業団地・準工業団地と呼ばれる地区がありますが、そのほとんどの基盤設備が脆弱で、電力供給が保障されていない、排水処理など環境基準がない、投資手続きが不透明などの問題があり、外資系企業の立地には不向きとされていました。
      しかし、2012年に新外国投資法が成立、2014 年1月には経済特区(SEZSpecial Economic Zone)法が改正され、工業団地や経済特区などのインフラ整備計画が策定され、設備基準やインセンティブについても明確化されつつあります。
       
      [ミンガラドン工業団地]
      外国資本により開発され、軍事政権時代のミャンマーで唯一の国際水準に近いインフラ整備された工業団地が1998年に竣工されたミンガラドン工業団地です。三井物産と建設省住宅局によってヤンゴン郊外に共同開発され、建設省住宅局とシンガポール企業によって運営されています。変圧器や配電ケーブル、給水タンク(5,000トン/日)、排水システムなどの主な産業インフレが整備されていますが、工業団地内の発電所建設は認められず、政府の変電所からの電力供給を受けているため、電力供給は不安定で計画停電もあります。自家発電機でカバーするため電力コストが高くなり、電力消費の多い重工業の操業には不向きなため、軽工業の工場が多いです。
      味の素やロート製薬など日系企業をはじめとして、香港、台湾、シンガポール、韓国などの縫製業や食品加工、電子部品などの業種が入居しています。ほぼ空きスペースがない状態となっており、隣接地に240ヘクタールの拡張が計画されています。
       
      [ティラワ経済特区]
      ヤンゴン市街地から南東23㎞のヤンゴン川東岸に位置するティラワ地区では、2001年から建設省住宅局による整備が細々と始まっていました。民政移管後の外資受け入れ促進への流れのもと、2011年にSEZとして本格的に開発する方針が打ち出され、2014年にはティラワ地区2,400ヘクタールが経済特区に指定されました。三菱商事、住友商事、丸紅による共同出資企業とミャンマーと日本政府の全面的バックアップによって特経済特区内に工業団地の開発が開始されることとなり、2013年に着工、2015年に約400ヘクタール第一期工事が完了する予定です。
      電力供給や水道システムなど国際水準のインフラの整備、最大の国内消費地であり労働力の供給地であるヤンゴンに近いこと、ティラワ国際港(MITT)に隣接しているため輸出入の利便性が高いことなど、外資系企業にとって有利な条件を備えた工業団地であると言えます。
      また、工業団地開発にあわせて、円借款による50MWの火力発電所建設や天然ガス・パイプラインの敷設、7メートル盛り土による洪水対策などの周辺インフラの整備も計画されており、進出立地としてはミャンマーで最も整ったものとなると言われています。
      すでにスズキ自動車、フォスター電機など大手企業も次々に進出を決めており、第1次(246ha)の土地予約契約は早期完売が見込まれ、第2次(150he)販売が前倒しされる予定です。自動車部品、電子機器、縫製、製靴、建材など17社の日系企業が契約済みです。
       
      [ダウェイ経済特区]
      ダウェイは完成すると約2,500ヘクタールの重工業を中心とした工業団地、深海港、大型商業施設などをもそろったミャンマー最大のSEZとなることになります。しかし、長年注目されてきたにもかかわらず、開発を手掛けてきたイタリアン・タイ・デベロップメント(ITD)の資金調達難や、開発の鍵をにぎるタイの政情不安により停滞してきました。2013年にITD社は開発権をタイ政府に譲渡し、同年6月にタイ、ミャンマー両政府による特別目的事業体(SPV)が設立され、新たなスタートを切りました。
      直接ベンガル湾に積み出せるインド洋への玄関として、タイに多くの企業が進出をしている日本にとってもダウェイの開発は大きなメリットがあります。タイ、ミャンマー両政府は日本政府にダウェイ開発への積極的参加を呼びかけていますが、ティラワ開発を優先している日本政府は参加意思表明をしていません。
       
       [チャオピュー経済特区]
      ミャンマー北西部ラカイン州に位置するチャオピューは、中国向けの天然ガス・パイプラインと石油パイプラインの起点となっており、軍事政権時代から中国が主導して開発が進められてきました。パイプラインと並行して高速鉄道や道路の建設計画がありますが、ミャンマー政府の外交方針や環境問題などにより計画は停滞してきました。
      しかし、経済特区法の改正を受けて、2014年にミャンマー政府はチャオピューを第3の経済特区に指定し、国際入札によりシンガポールのCPG社とアドバイザリー契約を結び、開発を促進する方針を明らかにしています。深海港開発と、石油化学工業などを中心とした750ヘクタール規模の工業団地建設計画が含まれると見られています。
       
       出所:株式会社ESJ