バングラデシュ

2 章 投資環境

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      【バングラデシュの今年度の経済成長について】
       
      GDP成長率の今年度予測>
       今年度(20167~20176)の経済成長率は、IMF(国際通貨基金)ADB(アジア開発銀行)の予測では6.9%WB(世界銀行)の予測では6.8%となっています。これは、昨年度の経済成長率7.05%を若干下回る数字となっています。バングラデシュは昨年、成長率7%代達成と中間所得層入りを果たし、国内でも大きく報道されました。バングラデシュ政府は、今年度の目標成長率を7.2%に設定しており、2年連続での7%代成長を掲げています。
       IMFはバングラデシュのさらなる経済成長には政府が教育、技術・テクノロジー、インフラへの投資を増やし、生産性を上げることが必要であるとの見解を示しています。
       
      <テロ後のバングラデシュ経済への影響>
       今期は7月にISによるレストラン襲撃テロが発生し、経済成長への影響が懸念されました。テロの影響を受けた業種は主に小売・レストランなどのサービス業です。特にテロ直後は、売上が前年の同時期の50%以下に落ち込んだテナントもあるようで、これは2013年~2014年の国政選挙に伴う情勢不安時以上の落ち込みでした。一方で、その他の産業への影響は現時点では限定的です。20167月度の衣料品の輸出量は過去9カ月で最低レベルとなりましたが、これは7月にイスラム教の長期休暇であるイード休暇が重なったためで、テロの影響による減少ではないとの見方が強いです。現時点では以前と変わらずバングラデシュへの衣料品製造発注が増えているという繊維製造企業もあります。治安状況は決して良いとは言えないものの、安価で豊富な労働力にビジネスチャンスを見出す企業は多いようです。
       
       
       
      【バングラデシュ 2016年(7月)-2017年(6月末)国家予算案】

      2016年(7月)‐2017年(6月末)のバングラデシュGDP成長率は7.05%と予想され、一人当たり国民所得は1,466USD増加すると予想されている。ここ10年は約6%の成長率を維持しており、今期はさらに大きな成長を期待している。第75ヵ年計画に従い、持続的な経済成長・貧困削減・雇用創出を目標として掲げている。2041年までに先進国に名を連ねることを目標とし継続的な成長戦略を立てている。

       

      ‐農業・食糧

      農業部門は堅調に成長し、低コストでハイリターンが見込める産業構造となってきた。前年は2.6%の成長を達成し、大型の出荷センターや、加工センターもできている。栄養供給面においても、牛乳、卵、肉の供給が増え健康水準も高くなった。食料保管の技術も向上し、食糧不足地域に供給することも可能となった。

       

      ‐電力、エネルギー

      20165月までで電気供給量は14,539MW(一人当たり電気供給量371KW、同国居住者の76%が電力供給を受けている)となっている。現状、送電システムの整備が追い付いていない状態であり、行き届いていない地域、また安定した電力供給も課題として挙げられている。

       

      ‐交通、インフラ 

      同国においては交通網の整備は最優先事項として挙げられている。輸出入の増加に対して、交通網の整備が遅れていることが、物流の遅れ、それに伴う経済発展を遅らせている。政府も橋梁、高速道路の老朽化した交通網の整備、また建設を進めている。主な進捗としては、パドマ橋の建設が進み一部で開通になったこと、同国とミャンマー結ぶ道路の整備が始まったことが挙げられる。さらに20162月、64kmに及ぶ鉄道も運転が始まった。昨年の実績としては、12の新しい橋梁の建設と、58の橋梁の修復が完了した。

       

      ‐情報技術

       20164月までに携帯電話、インターネットのユーザーはそれぞれ13000万、6200万まで増えた。SIM/RIMを個人登録する制度も始まり、インターネット犯罪に対する対策も始まっている。

       

      ‐教育 

      今まで学校がなかった1,125の村で学校が設立された。初等の公立学校には34,895名の教員が配置され、新たに3,000名の教員を採用する予定となっている。奨学金給付されている学生は1300万に上る。VIクラス(中等教育)では380万名程の奨学生がおり、そのうち75%が女性である。

       

      ‐健康・家族

      携帯電話でのヘルスケアサービス“health portal”が無料のサービス開始。13,126のクリニック・病院が現在のところオペレーションを行っており、235の施設を新たに開設する計画をしている。

       

      ‐女性や子供に対する取り組みの改善

      女性の経済活動への参加に対する注目から、マイクロクレジットや各種職業のトレーニングが増加している。育児をしながら働いているおよそ12万人もの女性に手当が支給されている。

       

      ‐児童

      2015年に初めて、‘Thoughts on Child Budget’というタイトルの児童に関する報告書が提出された。今年は、‘Blooming Children: Prosperous Bangladesh’というタイトルで7つの関係省庁から情報が発信される予定となっている。14歳未満の児童労働が150200万人程存在するといわれている。その多くはインフォーマル・セクターや家業に従事するが、この実態を改善するために以下のアクションをとる。

      ・実態調査

      ・児童に対する無償の食糧供給

      ・児童労働からの脱却、教育機会の付与

       

      社会保護

      まず政府は社会的弱者の現状の把握から始めている。これまでに行った調査、障害者データベースによれば20163月までに、150万人弱のハンディキャップを持った人達がいる。

       

      ‐環境・気候

      政府は‘National Environmental Policy 2016’を定め、環境問題、汚染の問題に取り組む。4,000ものレンガ工場に新技術が導入され、大気汚染の軽減を図っている。また1,000もの廃棄物処理施設が稼働し、さらに500の施設も建設されている。

       

      ‐観光

      観光セクターに10TKの投資を計画しており、コックスバザールにインターナショナルスタンダードの観光・娯楽施設をつくることを予定している。プロジェクトには5つ星のホテルの建設も含まれ、PPPのもと質の良いサービス構築を目指す。

       

      ‐貿易

      同国からの輸出に対し450TKのインセンティブを設け、輸出を助長する。特にその中でも、縫製、既製品産業においては今後も同国の産業を牽引する役割を持っていることから、50TKのインセンティブが与えられる。

       

      ‐住宅

      首都ダッカにおける2016年~2035年に及ぶ都市化計画(Detailed Area Plan)が始まっている。現在24,697の住宅が建設中であり、中・下流層のための住居18,732戸がダッカのウッタラで建設中である。

       

      ‐年金

      現状、全体の5%である公務員、残り95%のうちの8%に当たる雇用者のみが年金を受け取っている。将来的には拠出年金を全労働者へ適用していく計画であるが、具体案は未だ出せれておらず前進していない。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      (統計局)*20164月まで

       

      インフラ整備への拡充により、海外直接投資が伸びていく見通し。輸出では特にUSAとヨーロッパが多い。また、物価上昇率(インフレ率)の緩やかな下降による実質賃金の上昇と、バングラデシュ国籍の国外労働者からの同国への送金は、国内消費を飛躍的に伸ばし、より大きく経済が成長していくと期待されている。2016-2017年のGDP成長率のターゲットは7.2%と設定されている。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      国家予算構成

      2016-2017年の国家予算では約34,000TKで前年度予算の28.7%の増加を予測している。ただし、前年度も20166月の時点で、2,300TKの下方修正があり、本予算についても若干過大試算されているとの見方もある。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      (財務省)

       

      国家予算の中で、年間開発プログラム枠に割り当てられた予算は、全体で前年度比の21.6%増だが、教育・健康分野、交通・インフラにおいてはそれぞれ約39%、約50%の増加をし、この予算の比重の置き方からも今年度の政府のターゲットが読み取れる。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      (財務省)

       

      年間開発プログラムを含むすべての国家予算の各省庁への配分の上位ランキングにおいても詳細が確認できる通り、教育、交通・インフラへの政府の取り組みの強化が伺える。

       

      労働状況

      バングラデシュ統計局(Bangladesh Bureau of Statistics)によると2010年~2015年の間に470万人が新たに雇用された。男性、女性社員の給与格差は減少したものの、労働人口における就労人数は未だ少ない。特に女性に至っては、34.1%程しか就労できていない状況である。予想ではこれから5年間で、女性雇用者は10%増加し、これは毎年1%のGDPの成長に貢献すると考えられている。

       

      民間セクターの投資状況

      2021年までに24,000MWの電力供給を達成する。2019年までにダッカにおいて、高速道路・複数の要所への橋梁の設置を完了させる。バス交通網(Bus Rapid Transit)、メトロを発達させる。Public-Private Partnership Act, 2015が施行され、すでに6つプロジェクト(総額15US$)が始動している。また今年度5つの新PPPプロジェクトが予定されている。新たに46の経済特区が設置され、すでにこのうちの数ヵ所では国内外からの投資がすでに始まっている。さらに、日本・中国・インドのために経済特区の用地を確保している。

       

      税率、税金コンプライアンスについての主な変更点

      20157月の税法改正で、会計年度を71日から翌年630日に統一する改正があったが、2016629日の改正で、外国企業については会計年度統一免除とされた。

      ・タバコ関連事業に対する税金が2535%だったのに対して、45に変更された。

      ・同国経済を牽引し、多くの雇用を生み出している既製服(Ready-made garment)産業に対して、法人税が35%から20に変更された。

      ・ロイヤリティ等のサービス提供による収益に係る源泉税が10%から12に変更された。日本への支払の際は、二国間租税条約が適用されるため10%となる。

      ・都市部への人口流入による居住スペース不足から、狭い住居を購入する納税者に対し、源泉税率の引き下げを行う。

      ・中小企業に対する免税適用の上限額が300TKから360TKに変更された。

      ・税務申告期日が毎年930日より1130に変更された。

      2012年に定められた新付加価値税法は2017年の71日から施行され、付加価値税率が15になる。

      ・ビスケット、パン、靴、旅行代理業、力織機等のVAT免税措置が廃止された。

      ・冷蔵庫、エアコンの製造、食用油に対するVATインセンティブを2017年まで延長する。

      ・繊維の染色、プリント、艶出しの工程に係る事業はVATが免除される。

      VAT譲許税率が適用される22のサービスの税率が変更された。例えば、建設業が5.5%から6、交通にかかる石油製品が2.25%から4.5、その他の運輸業が7.5%から10、オフィス賃貸、取り付けサービスが9%から15にそれぞれ変更された。

      ・米の輸入関税10%から25に変更された。

      ・携帯電話の情報関連サービスへの補足税が3%から5に変更された。

      ・ミルク関連取引に対する補足税が20%から10に変更された。

      ・二輪車組立の関連セクターでの補足税が、45から20に変更された(ただし、2年間の制限付き)。



       
      特定サービス業種の差し止め命令取り消し】
       
      2012年にバングラデシュ最高裁判所は、以下のサービス業8業種に対する登記の差し止め命令を出していましたが、2016年3月付けで解除されています。
       
      <サービス業8業種>
      アパレル調達事務所、貨物運送業者、輸入代理店、配達(クーリエ)サービス業者、海運会社、利益目的の教育機関、広告代理店、航空・鉄道の販売総代理店
       
      <差し止めとなった経緯>
      建設業、ホテルレストラン業、保険、コンピューター関連企業等のように大規模な投資によりバングラデシュ経済を促進している業種と異なり、前述の8業種には1,000USD~10,000USDほどの少額の直接投資が多く、バングラデシュの雇用促進、経済成長に必ずしもメリットをもたらしているといえないという理由で、投資差し止めが行われていました。
       
      <差し止め解除の影響>
      このような外資規制の解除は日系企業にとってメリットといえますが、今回の差し止め解除の影響は限定的と考えられます。利益目的の教育機関に関しては、2012年以降「Academic」「school」といった事業目的を定款に記載することはできませんでしたが、実務上は「Consulting」「Culture Center」といった事業目的で定款登録を行い、教育関連事業(日本語学校や塾など)を行っている外国企業もあるのが現状でした。調達事務所や輸入代理店などについても、現地で「アパレル商社」の意味で使用される「Buying House」での登記はできない状況でしたが、「Import and Export」など類似する単語を使用すれば登記は可能であったため、事実上は登記差し止めが機能していない状況でした。さらに、アパレルの調達事務所に関しては、LC開設や決済について規制が別途設けられており、商社形態での進出にはまだ様々な参入障壁があります。
       
      また、差し止め解除の通達の中では、今後サービス業への最低資本金50,000USDを設けることについても示唆されていましたが、バングラデシュでは外国人が就労許可を取得する際には50,000USDの送金証明書の提示が求められることから、実際には50,000USD以上の投資を行うケースがほとんどです。
       
      今回の差し止め解除により、貨物運送業者などを中心に日系企業の進出が加速する可能性がありますが、前述の通り登記差し止め解除の影響が限定的であることや、2016年7月のテロの影響もあり現在直接投資に慎重な企業が多いことから、大幅な外国投資促進にはつながらないように思われます。
       
       
       
    • 投資環境

      ■ビジネス環境の現状2015

      世界銀行と国際金融公社(IFC)が、2014年10月に「ビジネス環境の現状2015」を共同で発表しています。
      バングラデシュは、このランキングの総合順位が189の国と地域中173位で、2014年版の170位よりランクが若干下降しています。各項目で順位が高かったのは「投資家の保護」で43位でした。これは、主に株主に対する情報開示や、少数株主の保護、取締役の責任の範囲などが評価されています。一方、「契約の履行」の順位が最も低く、裁判手続には多くの手間と時間がかかることが指摘され、また、「電力供給」も「契約の履行」同様低い順位となっています。
        
      【ビジネス環境ランキング】

       
      ■ わが国製造業企業の海外事業展開の動向
      国際協力銀行(JBIC)は2014年11月に「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(第26回/2014年版)」に関するアンケート調査を公表しています。当該アンケートは、海外事業に実績のある日本の製造業企業の海外事業展開の現況や課題、今後の展望を把握する目的で、1989年から毎年実施されています。
       
       
      2011年には15位のバングラデシュですが、直近の2014年の調査ではランクインしていません。
      バングラデシュは繊維企業や部品組立型企業、消費財企業から「安価な労働力」「他国のリスク分散の受け皿」「輸出拠点」などの点で期待されていることがわかります。

       直接金融(株式)市場
      バングラデシュにはダッカ証券取引所とチッタゴン証券取引所の2つの取引所があります。主な指数はDSE、DSEX、DSES、DS30の4つです。
      ダッカ証券取引所(DSE:Dhaka Stock Exchange Ltd.)はダッカ市の中心部に位置しています。ダッカ証券取引所は1954年に設立され、1956年から取引が開始されました。2015年5月時点で553銘柄が取り扱われており、332社が上場しています。ダッカ証券取引所一般指数(Dhaka Stock Exchange General Index)は2010年に80%以上の上昇を見せ、2010年12月5日には史上最高値の8918.51ポイントを記録しました。しかし、2015年4月現在4345.89ポイントとなっています。1990年から20015年までの平均値は1938.57ポイント(最高値は上記の2010年の8918.51ポイント、最低値は1991年の282.43ポイント)です。
       
      チッタゴン証券取引所(CSE:Chittagong Stock Exchange Ltd.)はバングラデシュの第二証券取引所として1995年に設立されました。2015年5月時点で237銘柄が取引されています。
       
      ■ 為替レート
      バングラデシュでは、2003年5月31日から変動為替相場制を採用しています。バングラデシュ中央銀行は、国内経済への悪影響を避けるため、極端な為替レートの変動については市場介入を実施し、市場を管理しています。
      通貨高は徐々に進んでおり、2008年10月には0.7円/タカだったものが、2015年4月現在1.5404円/タカと、急激な通貨高(円安)が進行しています。
       
       
      ■ 外国直接投資額(FDI)
      ここ15年間、外国直接投資(FDI)はバングラデシュ経済の近代化において重要な役割を果たしています。
      2007年には6億6,6 00万USドルだった海外直接投資は、2013年には15億9,913万USドルと過去最高数値となっています。この金額は、統計192ヶ国中78位です。また直接投資流出額は3,227万USドルで統計178ヶ国中98位です。
       
      【1980~2013年の間の海外直接投資額の推移グラフ】
       
      [国別外国投資受入額]
      繊維産業の発展とともに,バングラデシュへの海外直接投資は拡大を続けてきました。最近では更に所得水準の上昇に伴い,消費市場としてのバングラデシュが注目されてきており、内需向け企業の進出の動きも見られます。
      2012 年度における対バングラデシュ海外直接投資の上位10か国は,韓国(29%),サウジアラビア(22.3%),米国(21.6%),アラブ首長国連邦(11.2%),英国(10.5%),ノルウェー(7.6%), マレーシア(7.4%),日本(5.8%),シンガポール(4.6%),オランダ(3.9%)でした。アジア諸国では、中国や韓国や香港などの早い段階から投資を行っていた国が存在感を増してきています。
       
       
      主要投資国】※投資庁登録ベース 出所:Board of Investment (2013)
      それに対し、日本でもここ数年でバングラデシュに対する関心が高まり、投資は増えてきていますが、若干出遅れたという印象は拭えません。実際に、現在の投資額でも大きな差が付いています。また、日本企業の投資は輸出向けの生産拠点が中心ですが、中国企業等はバングラデシュ国内市場向けの投資が多く、業種もプラスチック製品やタクシー車両の生産など多岐に渡っているという違いもあります。
       
       
      [業種別外国投資受入額]
      バングラデシュ銀行発表のForeign Direct Investment (FDI) in Bangladesh(January – June 2014)によると、2014年上半期の外国直接投資額8億2,921万万USドルのうち、繊維、衣料品が2億4,799万USドル(29.90%)、銀行が1億3,865万USドル(16.72%)、電気通信が1億3,580万USドル(16.37%)となっており、繊維、衣料品業とインフラ業への投資が大半を占めています。 
       
       
      ■ 日系企業の進出状況
      日本企業の進出は、国内における市場の縮小、円高の進行、生産コストの増加などの理由により、1990年代後半より加速しました。
      業種としては縫製業に関連する企業が多く、2002年には大手ファスナーメーカー(YKK)が現地生産を開始しています。
      また、ユニクロ(ファーストリテイリング社)が、2008年に現地企業と合弁会社を設立し、バングラデシュでの調達・生産を開始したことが大きな話題となりました。
      エイチ・アイ・エス(H.I.S.)は2010年4月には旅行業の日系企業として初めて現地法人を設立しました。
      更に2011年に、きのこ生産大手の雪国まいたけが、ソーシャルビジネスとしてグラミン銀行グループ、九州大学との間で合弁企業を設立し、もやしの原料である力等の栽培をバングラデシュの農村で始めました。 
      製薬業界でも、、2011年にニプロが製造販売のための合弁会社を設立しています。今後同業界の企業の進出も予想され、業種も多様化していくと思われます。
      繊維業界を中心とする日系企業が、中国に代わる新たな生産拠点及びマーケットを求めた結果、同国に進出している日系企業数は181社(2014年4月)と、過去4年で2倍に増加しました。
       
       
      ■ インフラ
      バングラデシュでは、日本のODAや世界銀行等の支援により、インフラの整備が進められています。しかし、道路や電力といった基礎的インフラの不足は経済の足枷となっており、バングラデシュにおいてインフラの整備は最重要課題とされています。
       
      [道路]
      バングラデシュの交通渋滞は有名で、特に首都ダッカでは世界で最も激しいといわれるほど、交通渋滞が問題となっています。
      英国エコノミスト誌が発表する「住みにくい都市トップ10」ランキングでは、ダッカは、シリアのダマスカスに続き、ワースト2位に選ばれています。 
      乗用車やバスだけでなくリキシャや人も車道を通るため、交通ルールとは無縁の状態です。また、慢性的に駐車場が不足しているため、道路には違法駐車車両が溢れ、交通渋滞に拍車をかけています。
      公共交通機関は発達しておらず、バスはありますが、地下鉄などは整備されていません。ダッカ市内では交通渋滞がひどいときは、わずか10キロ1時間と揶揄されています。 
      ある研究では、交通渋滞による時間ロスは815万時間といわれ、金額にして年間約2,600億円にも達するといわれています。
      現在地下鉄、高架道路、高架高速鉄道等の建設計画がバングラデシュ政府と各国の支援事業により進められいます。
       
       
      [電力]
      電力不足も深刻な問題です。ダッカ市内では、停電が起こるのは日常茶飯事で、オフィスや工場には停電に備えて自家発電装置が整備されています。バングラデシュにおける発電能力は7,000メガワット日本の約30分の1に相当し、人口はバングラデシュの方が多いことを考えても、需要に対して大幅に不足していることがわかります。農村では42.49%の人々が電気を利用でき、都市部では90.10%に上ります。国全体の電化率は55%です。(JETRO調べ:2012年12月)
      さらに、安定した経済成長によって、工場操業のための電力のみならず、生活水準向上による電力消費も見込まれ、年率8%以上の電力需要の増大が見込まれています。
       
       
       
      2011年時点において、ハシナ首相が率いるアワミ政権は「ビジョン21」というマニフェストで、電力・エネルギー確保を最重要分野の1つとし、2013年までに7,000メガワットまで、2021年までに2万メガワットまで電力供給のレベルを上げることを目標としていましたが、達成することはできませんでした。2013年11月時点での総発電容量は1,021メガワットで、2020年までには2,250メガワット(内200メガワットが原子力発電)にすることが目指されています。

      [通信]
      バングラデシュではここ数年で携帯電話が急速に普及しました。携帯電話の加入者数は2012年時点で約9,700万人となり、携帯電話普及率は63.8%となっています
       
      価格は、Nokiaなどの新品が4,000~1万タカで購入でき、課金方法も基本料金はなく、購入したSIMカード(100~200タカ)に、別途パッケージまたはプリペイドでの課金となるため、容易に使用を開始することができます。
      現在バングラデシュでは、グラミンフォン、アシアタ、オラスコムの3大携帯会社がシェアを握っていて、2008年6月には、NTTドコモがアシアタの株式30%を取得しています。
      一方、ローカルネットワークを利用したインターネットの普及率は低く、2010年時点で約100万回線にとどまっています。その代わりに携帯電話の電波を利用した無線接続があり、携帯電話の電波が入る場所で利用することができます。また最近ではWiMAXのサービスを各社が提供していて、都市部を中心に無線インターネットに接続することができます。
      しかし、月額料金が3,000タカと高額で、速度が1Mbps程度であることから、多くの国民にとっては高価であり、速度も遅いため、今後の改善が望まれています。
      いずれにしても、道路や電力に比べると通信インフラは整備が進んでいるように感じられます。

       人的資源
      バングラデシュの人口構成の特徴は、77%以上が40歳未満という若い世代であること、平均年齢が21.2歳(日本は43.8歳)と若いことです。また、65歳以上の人口はわずか5%となっています。
      労働力面では、若い労働者を比較的に容易に集めることができ、マーケット面では消費意欲の強い若い購買層を有しています。
      国連の人口推計では、2030年のバングラデシュの人口は2億人に達すると予測されており、人口面での優位性が高いといえます。
       
      【バングラデシュ人口ピラミッド(2015年)】
       
      出所:U.S.CensusBureauInternationalDataBase
       
      「国際協力銀行2010年度海外直接投資アンケート」において、バングラデシュの有望理由の1つは「安価な労働力」でした。次の図は、日系企業を対象としたジェトロのアンケートを基に製造業の現地労働者の月額平均賃金を比較したグラフです。
       
      バングラデシュはアジア諸国と比較した場合においても、安価な労働力の供給という面においては、揺るぎない優位性を確保しています。
      次の図は、世界各国の主要都市の最低賃金の月額を比較したものです。バングラデシュでは2014年1月に最低賃金が月額3,000タカから5,300タカへ77%引き上げられました。バングラデシュの最低賃金の引き上げは2010年7月以来の3年ぶりとなります。しかしそれでもなお安価な労働力の供給という意味において、その他各国と比べて高い競争力があるといえます。
       
      バングラデシュ人は一般的に愛国心が強く、社交的・友好的で、おおらかな性格です。仕事においては、自発的には行動しない傾向が見られますが、指示にはきちんと対応する人が多いといわれています。また、几帳面な性格も持ち合わせており、工場での品質管理に貢献しています。また、日本は最大のODA国ということもあり、国民の多くが親日的であるということも日本企業にとっては有利な点となります。
       
      その他の投資メリット・デメリット
      [バングラ投資のメリット]
      バングラデシュは1.5億人の人口を抱え、近年の経済発展により1人当たりGDPも伸び、中産階級も既に10%以上に増えているといわれ、巨大な潜在的消費地として期待されています。バングラデシュ統計局公表の2010年家計収支調査(HIES:HouseholdIncomeandExpenditureSurvey)によると、2005年に40%だった貧困率が、2010年には31.5%に改善されました。1世帯あたりの月額収入についても、2005年の7,203タカから、2010年には1万1,480タカとなり約37%上昇しました。
      ビジネスパーソン・知識人の多くは英語が堪能であり、英語人材の輩出国としても注目を集めています。公用語はベンガル語ですが、主要な政府機関や金融機関は英語で資料を公表しており、英語は実質的な第二言語として、広く使用されています。インドで人件費高騰が続けば、バングラデシュの人材活用が注目されると考えられます。
      また、バングラデシュ国民の約90%が穏健派(スンニ派)であり、イスラム教の中でも他宗教にも寛容であるため、宗教的対立が比較的少なく、宗教分野でのカントリーリスクが低いといえます。
      さらに、地理的に東南アジア・中東・欧州と比較的近いため、グローバルな貿易拠点としての可能性も期待されています。
       
      [バングラ投資のデメリット]
      バングラデシュ進出企業の多くは、同国の安い人件費に魅力を感じて進出しますが、実際には原料調達コストや輸送コストなど人件費以外のコストが高くつき、期待したほどのメリットを得られない場合があります。
      上の図はアジア諸国から日本へのコンテナ輸送費を比較したグラフです。中国と比較すると、バングラデシュからの輸送費は約4倍です。また、製品輸出の主要港であるチッタゴン港は、混雑が頻繁に発生しているため、輸送のスケジュール管理が困難となり、企業からは不満の声が上がっています。
      その他、法制度が未発達であるため、行政手続はとても遅く、賄賂を求められるケースもあります。また担当者による解釈の違いにより、確認作業に多くの手間がかかることも少なくありません。これもビジネスの弊害となっています。
      また、バングラデシュは5月から9月の雨季は降水量が多いため、洪水が発生しやすく、同国の経済発展の大きな足枷となっています。
      次の図はバングラデシュと日本との降水量を比較したグラフです。バングラデシュの雨季1カ月当たりの降水量は、日本における梅雨のほぼ2倍となっていることからも、いかに洪水が発生しやすいかを推測することができます。
      さらに、4月から5月、10月から11月の乾季と雨季の変わり目にはサイクロンが発生し、洪水被害に拍車をかけることになります。
       
       
      こうした事態はバングラデシュ政府も問題視してインフラの整備に着手していますが、現在の所はまだ十分な結果はでておらず、改善が望まれるところです。
    • 投資規制とインセンティブ

      バングラデシュ政府は経済及び技術発展のため、投資にあたっての煩雑な手続を排除し、法人税の免除などの優遇措置を受けることができる輸出加工区(EPZ)を設けるなど、積極的な外資誘致を行っています。一方で、自国の産業保護と雇用確保のために、規制業種を設け、現地人の雇用義務を厳しく規定しています。
      このように、バングラデシュ政府は一定の規制を設けることで、外資の導入促進と自国の産業育成及び雇用確保の双方を達成し、バングラデシュ経済の発展に結び付けようとしています。
       
      ■ 関連法規
      [1980年外国人民間投資(促進及び保護)法]
      1980年外国人民間投資( 促進及び保護) 法(The ForeignPrivate Investment( Promotion and Protection) Act of 1980)は、バングラデシュにおける外国民間投資の保護と促進のために策定されました。
      同法において、保護及び規制の対象となる「外国資本」は、「外国籍の人物またはバングラデシュ以外の国に設立された会社によってバングラデシュに投資された資本」と定義しています。ただし、外国政府及び政府機関による投資は除外されます。
       
      [その他の関連法規]
      バングラデシュで事業を行う者は、以下の法律(及び規制)にも準拠して活動を行わなければなりません。
       
       
      ■ 業種による規制
      [禁止業種]
      以下の業種への外国資本による投資は禁止されています。
      武器・弾薬・軍用機器、原子力、植林・森林保護地区の機械的方法による木材伐採、紙幣印刷・造幣
       
      [規制業種]
      現在のところ、明確な規定はなく、規制業種についての質問に対するバングラデシュ投資庁(BOI:Board of Investment)当局の回答は非常に曖昧であり、場合によっては交渉により決定されることもあるため、進出の際、最新の情報を取得することが必要です。
       
      事前に政府許可が必要なもの
      深海での漁業、銀行・金融業、保険業、電力関連、天然ガス・石油・精油・石炭関連、その他鉱物資源関連、大規模インフラ事業、ガス・鉱物資源を原材料とする中規模及び大規模企業、通信サービス、衛星放送サービス、航空旅客・輸送業、海運業、港湾建設、Voip/IP電話サービス、沿海部で採取される重金属を利用する産業等
       
      出資比率に規制がある業種
      海運・物流業については出資金額、出資比率についての規制があり、海運は49%、物流業は49%が出資上限となります。
       
      最低低資本金規制がある業種
      原則、最低資本金の規制はありません。ただし金融業に対しては、次の通り最低資本金の規定が設けられています。なお、非公開会社であっても、払込資本金が4億タカを超えた場合は公開会社に変更しなければならず、払込資本金が4億タカに達した日から6カ月以内に実施しなければなりません。
       
      商務省による規制業種
      アパレル調達事務所、貨物運送業者、輸入代理店、配達(クーリエ)サービス業者、 
      海運会社、利益目的の教育機関、広告代理店、航空・鉄道の販売総代理店の8業種
      が規制業種(登記差し止め対象)となっています。
       該当する業種の場合は、事前に商業登記所と協議する必要があります。100%外資
      及び合弁の現地法人設立の認可を得ることは非常に困難になっています
       
      [土地所有による規制]
      外国企業であっても、法人であれば土地を所有することができます(外国人個人は不可)。ただし、輸出加工区については土地の取得は不
      可のため、使用料を支払って使用権を取得する形式となります。
      なお、土地を購入する際は以下の手続が必要になります。
       
      ・ 土地総額の5.0%相当の収入印紙の購入
      ・ 土地総額の5.0%相当の税の納入
      ・ 土地総額の4.5%相当を登記手数料として預託
       
      各EPZの使用料は以下の通りです。
       
      ■ 外国為替規制令による規制
      [外国為替管理の法的根拠]
      バングラデシュでは、「1947年外国為替規制令」を中心として、「輸出政策令2009 ~ 2012」、「輸入政策令2009 ~ 2012」の他、バングラデシュ銀行の発行するガイドライン等により規制を設けています。外国為替及び外国証券による取引、通貨及び金の輸出入に関して規定しています。
       
      [外貨の持込み]
      5,000USドル以下のバングラデシュ国内への外国通貨の持込みは自由に行うことができます。
      また、入国時に外貨申告書(FMJ書式)にて税関当局へ申告することで、5,000USドルを超える金額を持ち込むことができます。持ち込んだ外国通貨は申告を行うことで自由に引き出すことができます。
       
      [外貨預金]
      企業は外国通貨を預金するための外貨建口座を開設することができ、口座残高は海外へ送金することができます。また、タカ口座を自由に開設運用することもできます。
       
      外貨保有率制限
      輸出加工区以外の企業は、輸出で得た外貨の50%のみを外貨建預金口座に預け入れることができます。ただし、輸入率の高い製品(国内付加価値の低い)、商品輸出(縫製品や電子製品など)は10%、サービス業者は5%までしか保有することはできません
      。輸出加工区内の企業は、輸出で得た外貨の100%を外貨建口座に保有することができます。
       
      [海外への送金]
      配当金の海外送金配当金の国外への送金については、原則バングラデシュ銀行の事前承認は不要です。配当金を非居住者に対して送金する場合、取引銀行に対して申請書及び以下の書類を添付して申請を行います(バングラデシュ銀行外国為替取引ガイドライン30)。
       
      ・ 会社設立証明書の認証謄本(初回のみ)
      ・ 監査済貸借対照表及び損益計算書
      ・ 配当決議を行った取締役会議事録の写し
      ・ 支払先非居住者株主のリスト
      ・ 配当金に関する税金が控除されていることの監査人の証明書
      ・ 税金支払能力についての監査人の証明書
      ・ 最終課税査定命令を受領した場合は、かかる最終租税査定命令
       
      支店利益の海外送金
      外国為替取引ガイドライン27によると、外国企業の支店利益を海外に送金する場合、バングラデシュ銀行の事前承認なく送金できるとされています。
      しかし、現在のところ支店が獲得した利益の送金は難しいといわれており、実務上の運用には不明瞭な点が残されています。
       
      ロイヤルティ、ノウハウ料等の海外送金
      ロイヤルティ、ノウハウ料、技術支援費等を送金する契約を締結する際、以下のいずれかの要件に該当する場合は、契約書及び関連書類を添付して申請書をBOIに提出し、事前の承認を得なければなりません。該当しない場合には、BOIの承認なしで送金することができます。
       
      ・ 新規プロジェクトにおいて、ロイヤルティ、ノウハウ料及び技術移転に関連するサービスフィー等の合計が、輸入機械のCIFの6%を超えた場合
      ・ ロイヤルティ、ノウハウ料、技術支援費、マーケティング費及びその他の関連費用の年間費用合計が、企業の前年度の税務申告書上の売上高の6%を超えた場合
       
      その他の海外送金
      その他、海外への送金について、バングラデシュ銀行の事前承認の要否は次の通りとなっています。
       
      [借入規制]
      外国からの借入(Foreign Loans)
      バングラデシュの企業(現地企業、外国企業、ジョイント・ベンチャー)は、BOIの事前の承認を得て海外から借入を行うことができます。なお、次の要件に該当する場合は、事前承認を必要としません。
       
      ・ 実効利率がLIBOR+4%を超えないこと
      ・ 返済期間が7年以上であること
       
      これに該当しない場合は、両当事者によって署名された外国借入契約(Foreign Loan Agreement)のコピーをBOIに提出しなければなりません。BOIの承認を受けた借入に対する利息の支払と元利の返済のための送金は、バングラデシュ銀行の事前許可なしに取引銀行を通じて行うことができます。
      また、EPZ内の企業には恩典が与えられており、BOIまたはバングラデシュ銀行の事前承認なしに海外の銀行や金融機関から外貨建借入を行うことができます。
       
      国内での借入(Local Borrowings)
      バングラデシュで操業する企業は、製造業、非製造業を問わず、通常の顧客関係(banker-customer relationship)に基づいて、現地通貨での運転資金、及び長期借入金の借入を行うことができます。
      EPZにおけるジョイント・ベンチャーは、海外から得られる外貨建短期融資の額まで現地通貨での融資を受けることができます。
       
      ■ その他の規制
      [現地人の雇用義務]
      バングラデシュ国内で外国人が就労する場合、BOIに対し就労許可証の取得を申請しなければなりません。また、この許可申請時には、現地人の雇用義務についての審査基準があります。目安として、製造業では外国人1名につき20名以上、サービス業では外国人1名につき5名以上の現地人スタッフを雇用しなければなりません。
      なお、バングラデシュ国内で外国人の雇用を希望する民間企業は、事前にBOIから許可を得る必要があります。外国人雇用のためのガイドラインは、次の通りとなります。
       
      ・バングラデシュによって認められた国の国民が雇用することが許可される
      ・外国人の雇用は、当局によって許可された産業に限られる
      ・外国人の雇用は、現地の専門家を確保できない職業に限られ、18歳以下の者は雇用の対象とならない
      ・新規雇用及び契約延長は、企業の取締役会により決定される
      ・内務省による人物審査をパス通過すること
      ・EPZで働く駐在員のための就労許可証の取得(EPZに会社を設立している場合はEPZに、それ以外の場合はBOIに就労許可証を申請)
       
      [労働法関係]
      10人以上の従業員を雇用する製造業企業は、2006年労働法に従い、工場査察官(The Office of the Chief Inspector of Factories)の審査、登録が必要となります。
      労働法は工場での安全性を確保し、労働条件を規制する主要な法律であり、その他にも、賃金支払法や工場法など多数の法律が存在します。
       
      ■ 投資インセンティブバングラデシュ政府は国内への投資を奨励するための法律を定め、政策を実施しています。基本法として、1 9 8 0年外国投資法(Foreign Private Investment Act of 1980)、 2009年産業政策(TheIndustrial Policy of 2009)があり、税金の免除や投資家の保護を定めています。また輸出加工区についての投資を定める輸出加工区法(The Export Processing Zone Act)を規定しています。
      優遇対象や内容については、担当者によって回答が違うことも多く、体系的に把握するのは困難な状況となっており、現段階で判明している情報を記載しています。
       
      [輸出加工区(EPZ)における投資優遇措置]
      バングラデシュには、現在8つの輸出加工区(EPZ:ExportProcessing Zone)があり、これまでに32カ国が既存のEPZに投資しています。
      EPZは、輸出加工区庁(BEPZA)が輸出貢献産業への国内及び外国の投資を促進するため開発した特別区域で、現在バングラデシュには8カ所設置されています。ここでは、企業の生産活動に適したインフラを整備し、輸出入品の関税免除や10年間の所得税免除などのインセンティブの供与、投資家への事務・支援サービスなどを提供しています。
      バングラデシュ輸出加工区庁(BEPZA)を通じて、輸出加工区(EPZ)への投資についての最新情報を入手することができます。
       
      対象業種
      EPZに入居するためには、投資案件につきBOIの認可を受けていなければなりません。現在のところ、農産品加工業、繊維産業、紡績業、繊維機械製造業、衣料品製造業、衣料品関連業、革製品、IT産業、製薬業、軽工業、セラミック製品、メラミン製品、プラスチック製品、衛生用品、鉄鋼、コンピュータ・ハードウェア、石油化学、農業機械、化学品、造船などが対象といわれていますが、バングラデシュにとって有益であると判断されれば、投資内容により認可を受けることができる可能性があります。
       
      対象地区
      現在、右の8つのEPZがあります。今後、これ以上のEPZの増設はないと公式に発表されています。
      優遇の内容
      1. 法人税の減免
      2012年1月1日より前に行われた投資は、10年間の免税を受けることができました。2012年1月1日以降に行われる投資については、最初の2年間が100%免税を受け、以後は5年目まで、以下の減免を受けることができます。
      2. その他の恩典
      EPZ内の企業に対しては、法人税減免の他、以下のような恩典が与えられます。また、その他にも各種行政手続も通常に比べて容易になり、インフラが整っているというのも、バングラデシュにおいて操業する上では大きなメリットとなります。
       
      ・ 建設資材輸入税の免税
      ・ 機械、オフィス備品、スペアパーツ等輸入税の免税
      ・ 原材料、完成品の輸出入免税
      ・ 二重課税排除
      ・ 配当課税の免除
      ・ 一般特恵関税制度(GSP)の利用
      ・ 機械や工場の増加償却
      ・ ロイヤルティ、技術料の送金
      ・ 資本金の100%本国送金可能
      ・ 外貨建借入のバングラデシュ銀行事前承認不要
       
      ■ EPZ内外を問わない投資優遇措置
      [奨励業種]
      バングラデシュへの投資に対する奨励業種は、輸出志向産業、ハイテク産業、国産天然資源を活用する産業、国産原料に依存する産業など同国において盛んである労働集約型産業や、世界的に確固たる需要があり雇用を創出する産業が推奨され、特に輸出志向産業については、輸入資本機械に関する関税の減免などの優遇措置があります。
       
      [優遇の内容]
      法人税の減免
      加速減価償却
      新規投資について増加償却を適用することができます。投資初年度は工場建物や機械装置価額の5 0%、2年目は30%、3年目は20%が適用されます。
      関税の減税
      輸出志向型企業の機械設備輸入に関する関税の減免
       
      ・ 生産量の80 ~ 100%を輸出する企業の場合、1%を適用
      ・ 生産量の80%未満を輸出する企業の場合、3%を適用
       
      輸出志向型企業が原材料を輸入する場合の関税率減免税措置
       
      ・ 生産量の100%を輸出する企業のうち保税倉庫を持つ場合、免税
      ・ 生産量の100%を輸出する企業のうち保税倉庫を持たない場合、輸入時に一旦所定の関税を支払い、輸出後に還付を受ける
       
      ■ 地域情報
      [ダッカ]
      概要
      バングラデシュの首都であるダッカは、ブリガンガ川のほとりに位置し、約1,180万の人口が生活する、世界一の人口密度を誇る過密都市として知られています。多彩な歴史を持っているため「モスクの都」ともいわれ、バングラデシュの政治的、文化的、経済的生活の中心地となっています。街は高級品志向の中流階級が増加したことにより、海外のブランドショップ等が店舗を構えた大型ショッピングセンターが建設されるなど商業の発展が著しくなっていますが、その一方で、小規模店舗や露天商も健在です。
      ダッカに住む外国人は、中心部に位置する外国人住宅街のマンションを利用することができ、手頃な価格で比較的安全な生活を送ることができます。しかし、最近の経済発展による人口流入に伴い、物件の不足や家賃の上昇も起こり始めています。
       
      インフラの状況
      ダッカ市内には総延長1,868kmの道路が舗装されており、国中の他の地域へアクセスする高速道路や鉄道とリンクしております。また、国営バングラデシュ道路交通公社(BRTC)が運行する定期高速バスにより、コルカタやアガルタラへの移動も可能となります。
      空路でも同国最大の規模と国内外航空機発着数を誇るシャージャラル国際空港があります。海路ではショドル・ガットと呼ばれる大きなターミナルがあり、同国最大の港を持つチッタゴンへの定期船もあります。
       
      日本企業の活動
      ダッカには、伊藤忠商事、住友商事、セイコー、東京三菱UFJ銀行、東洋エンジニアリング、豊田通商、日本郵船、丸紅、三井物産、三菱商事、ユニカ(UNIQA)、YKKバングラデシュなど数多くの日系企業が進出しています。2011年には、丸紅がバングラデシュ国鉄よりディーゼル機関車納入案件を受注し、国際協力機構(JICA)を通じた日本政府による円借款の支援により実現しました。これにより、ダッカにおける慢性的な交通渋滞が緩和され、鉄道輸送のインフラ事業を通してバングラデシュ経済発展への貢献が期待されます。

      [チッタゴン]概要
      チッタゴンは企業の本社所在地としては国内最大級であり、バングラデシュの商工業の中心地となっております。世界で最も急速に成長している都市の1つであり、世界的に競争力のある経済特区を有しています。
      チッタゴンはカルナプリー川(Karnaphuli River)の河口に近く国内最大の港を擁し、輸出入の主要な経路として国内外から投資が集まっています。2014年6月、JICA(国際協力機構)はバングラデシュとの間で、過去最大規模の(総額約1,209億円)円借款貸付契約を調印しました。電力インフラの供給、農業生産性の向上、天然ガスの安定供給、都市インフラの改善、灌漑設備による洪水被害の軽減、上記5つの主な支援により、バングラデシュの人々の生活水準の向上と、益々の地域経済発展に貢献するものです。 
      近年になって、中国の影響力も強くなっています。2013年度以降は、中国からバングラデシュへの製造業の投資が加速し、EPZにおいて最大の投資国となりました。又2014年5月には両国の経済関係強化が合意され、今後ますます貿易、投資、人的交流は深化していくことが予想されます。
       
      日本企業の活動
      急速な円高の進行により、日本のニット衣料メーカーなどがチッタゴンに進出し日本向けの事業を順調に伸ばしています。また、大手縫製機械メーカーは、縫製技術や機械メンテナンスの訓練所の開設、技術者育成などに力を入れています。
      なお、チッタゴンには、マミヤ・オーピー、CBC、マルハニチロ水産、光波などの日系企業が進出しています。